事業において「変える」ということ(1)

前回、事業を軌道に乗せていくのにあたって振り返ったことに

・変わらない、変えない自分たちの価値観、商品の価値の部分

・変わる、変えるべき戦略や戦術の部分

が大事だったという話をしました。

 

今回は「変わる/変える」について思っていることを書いていきます。

 

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どんな事業でも、うまくいくためには「売れる」理由や仕組みが必要です。

・他にはない独自性

・近くにある利便性(いつでも、とか素早いも含みます)

・ブランド力

・価格(独自性に含めて議論することも可)

 

など、商品そのものの価値をどう設定するかが教科書的な話です。

 

事業を実際にやってみると、会社(チーム)としての価値と競争相手に対する相対価値が関係してきます。また、お客さんの気持ちもどんどん移っていくため、賞味期限的な価値も絡んできます。

 

これをすべて達成するのはとても難しい、今でも難しいと感じます。一つ言えることは、自分たちが変わっていかないと、その価値を上げることは難しいのではないかということです。

 

もっとも、「老舗の味」的な変わらないことで支持を得ているお店や会社もたくさんあるでしょう。しかし、老舗も最初は新興企業だったはずで、そこでは他社が作らなかった価値を提供したことでブランド力がついて、いつしかそのお店の存在そのもの、商品そのものの価値が人を集めることになったのだと思います。起業をする際に、最初から老舗にはなれないし、ごく一部に例外はあるかもしれませんが、老舗的な評価は得られないですよね。

 

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私たちの「ピラティススタジオ」では、大手の会社が既にあったので、利便性では到底かないません。そこで、独自性を高めていくしか方法はないのですが、「ピラティス」そのものを知らない潜在顧客にその独自性を伝える力強い「言葉」やメディアを考える必要がある訳です。

 

起業当時、私たちの運動指導の技術レベルは平均的で、技術をアピールするような言葉が使えませんでした。また、技術で売るとしたら、当時は結果にアピールするような「効果的に痩せます」とか「〇〇人の腰痛が治りました」という表現に意識が向いていました。しかし、これらの表現は、薬事法消費者庁的な観点から好ましくないし、第一に事業を行っている私たちの「おごり」につながるので、使うべきではないと思いました。

 

そこで「少人数スクール」「よく見てもらえる」「だから楽しい」というようなキャッチフレーズで営業したのです。これは、使用し始めた頃は効果があって良かったのですが、競合相手が同じような言葉で営業しはじめると、次第に賞味期限を迎えます。

 

営業的には賞味期限が短かかった(振り替えると2~3年)のですが、この時に本当に少人数のクラスを運営していった結果、私たちの技術力はかなり鍛えられました。同時に、投資として「身体についての勉強」を続けたことも技術力アップにつながりました。

 

お客さんはピラティスを指名して運動施設を探す人もいれば、運動なら何でもよいという感じで探す人もいます。なので、私たちの会社やサービスを、ピラティス業界の中での立ち位置ではなく、広く運動業界全体の中での位置づける、自分たちのアイデンティティを再定義する、必要も感じていました。

 

(その2へ続く)