滑る技術

家内は東北の生まれで、今回スキーは20年ぶりだと言う。「小さい頃はしょっちゅう行っていたのよ〜」と言うけれど、「人からまともに教わったことないっ」とか「滑れなかったらどうしよう〜」とか言うので、今回のスキー旅行では、最初からおそるおそる様子を見ては教えてあげることに。

僕はと言うと、スキーは高校3年から。埼玉で育った僕は、雪国ではないけれど関越自動車道上越線に近いとあって、日帰りスキーを中心に大学、社会人と相当の数を行った。

20年前といえば、スキーブーム真っ最中。スキーに行くとなれば、前日の晩から車を走らせ、駐車場で夜を過ごし、リフト待ち10分、20分はザラ、ゲレンデも混んでいてロングターンでもしようものなら人にぶつかってしまう、という時代だ。

関越方面で、インターに近く、高速リフトが中心でリフト待ちの時間が少なく、駐車場が広く、レストハウスも広い(昼ごはんの待ち時間が短い)、という理由で神立高原にはしょっちゅう行っていた。コブ斜面が多いし、何しろ週末の午後ともなるとあまりの人の多さに、緩斜面でさえコブになるという当時のゲレンデから、いつしかコブが得意になった。

今はすっかり事情が変わった。車は朝出せば十分だし、リフト待ちもほとんどない。スキーはお金も時間もかかるから、レジャーとしての人気は低い、とレポートする記事も理解できる。

しかし、スキーで育った僕たちには冬はやはりスキーだ。20年ぶりに滑った家内も、少しずつ勘を取り戻したようで、「スキー楽しい!」「スキーは私の趣味なのよ」と、まるで去年まで続けて滑っていた人のように活き活きとしている。

子供の頃から雪国で育った人のスキーはたくましい。なにしろ速い。肌感覚で、いかにスキーを滑らすかという感覚があるのだろう。子供同志でスピードを競うこともあったという。僕は、あまり直滑降をしたことがなかったから、一昨年に長野で教わった地元のコーチに、「直滑降はどうやって安定させるのか?」と聞いたくらいだった。一方で、家内はエッジの使い方を考えていなかったりする。「あっ、確かにこうすれば曲がりやすい」と言うから、同じスキーでも全く違う考え方が存在するのだということが分かる。

ゲレンデで滑るスキーと云えども、より楽しく、より多くの斜面や状況で滑るためには、より多くの技術を持っていた方が良いというのが僕の考え方だ。スキーにはいろんな技術があるけれど、その多くは競技の世界から持ち込まれたものが多いはずだ。

最近の滑り方は骨盤を使ってターンをしたりする。それは今のスキー板にあったものだし、より安定した状態でスキーを滑らせることに役立つ。一見、意味がなかったりするかもしれないけれど、スキー競技のビデオを見たり、雑誌を読んだりというのはこういうところとつながっている。

そんな中での盲点といえば、直滑降なのかもしれない。スキー雑誌やDVD、常設のスキー教室では直滑降のやり方なんて教えてくれない。しかし、明らかに地元の人はスキーが速い。楽しみ方の入り方がスピードから来ているのだろう。




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