起業のときに行った分析
2013年の春くらいに、当時勤めていた会社を辞めることを決め、2013年11月に会社設立をしました。
一般に、会社を辞めようと決断する人の理由は、一つではないと思うのですが、僕の場合もそうで、それを論理的に筋道つけて話そうとしても整理できないし、本当のところはなかなか伝わりません。
一般論として、「会社や会社勤めが嫌で辞めた」後の起業はうまくいかなくって、「そうではない起業」はうまくいくような論調というか、空気があります。しかし、嫌じゃなかったら辞めないと思うし、起業とか脱サラという決断を人生のどこかのタイミングで行う際に、「嫌」とか「好き嫌い」の感情やその背景となった現状というのはあると思うのです。
しかし、こういう話は、7年経った今「起業がそこそこ良かった」から言えるのであって、当時は「嫌で会社を辞めた訳ではない」という体を装っていました。
なので、いま起業を考えている人も、「嫌で辞めるのではない」という表向きの自分と、自分のこころに素直に従う自分とを使い分けることは良いのではないか、と思います。
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会社を嫌で辞めた要素があったのは事実ですが、起業の前に相応の分析を行って、判断をしました。
今思うと、当時の自分の「起業したビジネス」に対する認識は、かなり甘かったな、と思います。
当時は、自分たち夫婦が趣味ではじめた「ピラティス」という運動を、自分たちの手でお客さんに提供したいという意欲に満ち溢れていました。(今ももちろんありますよ・・・。当時は、意欲だけが先走っている感じでしたね。)市場もまだ成熟していなくて、先行する企業の問題点や改善点などを視野に入れて、ビジネスを行うことにしました。
自分たちの拠り所は、
・苦労して取った資格(ただし、3年くらいで取れる)
・もともと会社員だったので、半分近くの顧客層である会社員のニーズが分かる
・人に伝える技術を会社員時代に培っていた
でした。
これは、これで役立ったのですが、言い方を変えればこれしかなかったのです。そして、役立ったのも最初の2~3年までで、お客さんはなかなか増えていきません。正確に言うと、お客さんはかなりのペースで増えていったのですが、辞めていくお客さんも多かったので、結果としてお客さんはそれほど増えていきません。
ピラティスのマーケットは、成長していくという感触はありましたが、爆発的に伸びた訳でもなく、女性専用のジム(カーブスなど)や通いやすいジム(エニタイムフィットネスなど)、パーソナルトレーナーが開業するジムやヨガスタジオなどと市場を分け合うような感じで進んでいました。
ピラティスは海外で先に流行りはじめ、日本に入ってきたという経緯があるのですが、自分たちが起業した2013年時点で、すでに新しいものでも、珍しいものでもなくなっていた訳です。このことを、起業した後に気づいたのは遅かったのですが、それでも起業してすぐに「これじゃあダメだぞ」と危機感をもてたのはラッキーでした。
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そうなると、起業当初に描いていた理想像や事業計画は、すべて砂上のものになります。
分析が甘かったと言えばそれまでだけれども、分析し尽くしたところで、予想もしなかったことが起きるものです。
ここで、今振り返って大事だったと思えるのが
・変わらない、変えない自分たちの価値観、商品の価値の部分
・変わる、変えるべき戦略や戦術の部分
です。
これについて、それぞれ書いていきたいのですが、変わること、変えることはそもそも変える必要があると認識する必要があるし、変えるにはタイミングの判断や勇気も必要です。
分析も大事だけれども、今の市場環境を読みながら、考えながら変えていく、走りながら変わっていく「柔軟性」が大事だなあ、と思います。