リフォーム体験記

家のリフォームは昨年の9月から今年の2月にかけて行われたのだが、リフォームに関して思ったことをまとめてみよう。ちなみに、リフォームの出来については、大変満足をしている。


1)中古住宅を買うということ
中古と新築では中古の方が安いし、もしいつか建てかえる時期が来るとしても、その土地の日当たりや風向きを1年を通じて知ることは新築では困難だから、中古でいったん住んでから建てかえるという考えに惹かれていた。
例外が、有名で長寿な住宅番組『たてもの探訪』で数年前に紹介されていた。ある人が湘南で海辺の土地を買って新築住宅を建てる、という物語なのだが、建てる前に幾度となく訪れ、日当たりや風向きを計測してから設計をした、のである。そこまで出来たら凄いと思うけれど、普通の人にはなかなかできることではない。
中古住宅の選び方は、こう言ってはオチにもならないけれど「あなた次第」だと思う。僕の場合は、その”土地”と自分たち家族との相性が良いかどうかと、その”家”の構造がしっかりしているか、を価値判断のポイントにした。建物については、下見の際にリフォームを計算に入れながら、直さなくても妥協できるところとリフォームでばっさり替えたいところを思い描きながら考えた。土地は難しい。建物はある程度直せても土地はそうはいかない。「音の静かなところ」とか「日当たりが良いところ」といった「自分にとっての住みやすさとは?」の優先順位で考えていった。相性を優先順位の中で選ぶ、というのはマンション探しや賃貸住居探しと変わるところはないだろう。


2)リフォーム計画
「ここをこうしたい」というリストを作っていく。最初は予算などを割り振らずに、願望を書き出していく。ここで構造的にこう変えたい、という案も出てくるが、そのあたりはプロが考える案には叶わないから、案作りは細かくならないようにして、「今よりも部屋を明るくしたい」「落ち着いた空間にしたい」「肌触りの良いフローリングにしたい」などと抽象的でも自分たちの感覚や感性に添った言葉で書いていくと良いと思う。
いろんな住宅雑誌や、家具のカタログなどを参考に、「このページのこのあたりの雰囲気が好き」というのをリストに添えるとリフォームの設計士さんとの話が進めやすい。僕らは、新宿のオゾンに住宅雑誌の図書館(閲覧のみ可)があるので、そこでアイデアを得たり、同じく新宿に水回りのメーカーのショールームがあるので、そこを観て回り写真をとったりしてきた。
最終的に、「ここをこうしたい」リストの他に、1ページに6枚くらいの写真が入った参考集なる冊子が何ページが揃った。それを見せながらプロとの打ち合わせに臨んだ。


3)設計のコンペと相見積もり
リフォーム関連の雑誌というのがある。気になるリフォーム業者さん数社に資料を送ってもらい、その中から自分たちの感性に合いそうな業者さんを2〜3社選ぶと良いと書いてあった。僕らは2社を選び、面談させて頂いてそこで設計の素案とおおよその金額を出してもらった。面談は1社2〜3時間近くかかるので、この段階で多くの業者さんと会うのは現実的ではないと思う。通常ここまでは無料(要確認だけど・・・)。
設計士さんとの相性を見たり、限られた予算をどう割り振っていくか、の各社の工夫も見ていく。リフォームは、新築マンションとは違い、部材が一件単位の発注なので、既に分譲マンションに住んでいた自分にとっては「思ったより高くつく」というのが印象だ。なので、メリハリをつけて「これは何としても実現したい」と「これはあきらめよう」をこの過程で決めていかないといけない。最も大変な段階だ。


4)契約から工事開始
気にいった業者さんが見つかったら、契約の意志があることを伝え、より具体的な設計プランに入っていく。部材を決めていったり、具体的な話の中から追加の要望を出したりするので、ここでも金額が動いていく。いろいろな部材を見るとついつい高い方に目がいくから、実は前段階の相見積もりの段階で、数字の前提としてどのランクの部材を考えているかを確認しながら、後で金額が大きくぶれないようにすることも大事だ。あるいは、相見積もりの予算は本当の予算の8割くらいにしておき、後で金額が上ぶれすることを計算しておくのも賢い方法かもしれない。
契約や工事の進め方については、採用したリフォーム業者さんから細かく説明を頂くのだが、トラブルがこの段階より発生することもあるようなので、リフォーム関連の書籍にある「チェックポイント」を参考に、契約書を自分の言葉で理解していくことが必要。


5)工事開始と内容の変更
リフォームの難しいところは、「床をはがしてみないと分からない」「天井をはずしてみないと分からない」という箇所が存在することだろう。予め、そうした説明を相見積もりの段階で言ってくれる業者さんは信頼できると思う。実際、じゅうたんからフローリングに変えようとしたら、予め設置してあった床暖房のパネルがフローリングに対応していなかったということがあった。床暖は、あきらめるのは無理だったから、ここで大きく計算が狂った。僕は、リフォームと同時に「買うぞ」と思っていた某高級ソファーをあきらめました。いつか買えるといいなあ・・・。


6)全体を通して・・・
壁や床などの張替えによるリフォームは張り替えた箇所は新築同様になる。こうした張替えは住み始めるとなかなか出来ないから、思い切ってやってしまった方が良い反面、面積が多いので、値段が思ったよりもかかるという現実もある。
水回りの中でもトイレは、ここ10年くらいの間にタンクレスのトイレが普及してきたので、替えることで新しさが目立つ部分でもある。見た目以外にも、最近のトイレはお手入れもしやすいように作ってあるから、リフォームで成果が現れる部分だと思う。

間仕切りを増やしたり、スケルトンにすると、ビフォー・アフターのような意外感のあるリフォームになるが、値段もかかるし工期もかかる。賃貸や分譲マンションと同様、窓につけるカーテンやブラインドなども、好みのものに揃えていくだけで、窓の枚数があるし既製品では済まないケースも多いから、やはり費用がかかる。

中古住宅の場合は、想像もしていなかった意外な効果に出会える反面、「これは仕方がない」と受け入れる寛容さも大事だと思う。


7)その後のメンテナンス(2010年9月追記)
リフォーム後、1年半近く経ってさらに思ったことをメモ。中古住宅の場合、気になるのはお家のメンテナンス。リフォームで直したところの保証の範囲は、契約書に明記されるはずなので、確認しよう。
リフォームを終え、設計から施工、その後のアフターサービスを見て、その業者さんが満足のいく仕事をしてくれたら、仲良くなっておこう。知り合いに工務店などの”使える人”がいない限り、突然起きたトラブルに対応してくれるのは、もしかしたらそのリフォーム業者さんになるかもしれないのだ。
我が家の場合、梅雨の最中に突然天井から水が漏ってきた。前のオーナーから引き継いだ新築時の建物保証も切れ、実費で修理をするしかない。しかし、実費で直すにも、どんな人に頼んだら良いか分からないし、応急処置の仕方も分からない。
すがる思いで、リフォーム業者さんに連絡を入れると、すぐに現状を確認しに駆けつけてくれ、原因を特定し、応急処置用のビニールシートを貸してくれた。水漏れは、雨漏りの可能性と給水などの配管の劣化が考えられる。調査の結果、防水ウレタンが劣化したための雨漏りと判明した。
後日、リフォーム業者さんが使っている下請けの防水業者さんを使って、リフォーム業者さんの監督の下で後日工事をしてもらった。費用はもしかすると、単独で頼むよりも高くなるかもしれないが、もし当初のリフォーム工事の結果が満足であれば、こうした緊急対応の工事、それが単発でも、満足がいく可能性が高い。
実際に住んでみると、その他にも、「そこをああしたい」という細かな要望が出てくる。費用的にも、時間が経つとボーナスが使えたりするから、その「もう少しこうなら・・・」を叶えてくれる。ちょっとした工事でも受けてくれそうかどうか、最初の業者さん選びのときに、見ておくと良い。




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