日本の位置

今日は某証券会社の年頭セミナーがあって、日本経済の話題や政局の行方などの話があった。竹中平蔵さんもスピーチし、大変盛況だった。

話題の一つに、東京の国際金融センター構想に向けた取り組みというのがあった。現在、国際金融センターと目されているのは、ニューヨーク、ロンドン、香港、シンガポールあたり。そこへ、東京をどうやって食い込ませるかというお話。そのためには、より一層の規制緩和が働かないといけない。言葉の問題ではおそらくない。もっとも、そんなことになった場合は、当然英語が中心になるだろうから、日本人がどうやって英語を駆使していくか、というのは話題にはなるはずだが・・・。

年頭といえば、日経新聞の特集で日本円の弱さについて連載されていた。円が強かった頃、老後はオーストラリアやスペインに移住し、強い円をバックに年金で生活するというプランが流行っていた。しかし、今はそのプランが立ち行かなくなっているらしい。円が当初の予定から狂って安すぎるのだ。

そしてユーロ高。スペインに移住した人の場合、計画時と比較すると「生活費は倍近い」そうだ。ポンドも実に高い。ロンドンに最近行ったことのある人なら分かると思うけど、ロンドンの物価も円で見ると大変なことになっている。地下鉄の初乗りが4ポンド(800円)というのは本当に驚きだ。

「一時的なもの」と思えたうちは良いが、この状態が続いているのだ。日本でもらっている給料というのは、日本でしか通用しない。もしかしたら、グローバルで働く従業員は、日本よりも通貨の高い欧州で働く道を選ぶかもしれない。会社は、優秀な人をリテイン(維持)すると言っても、会社レベルでできる努力は虚しく、国家レベルの話で決まってしまうだろう。そうなると大変だ!

セミナーの話も、「日本が規制緩和を進めれば・・・」という前提での話題が多く、「それは政策次第」という締めくくりにしかならないので、あまりにも寂しい感じがした。しかし、そのことが、今の日本を表しているということなのだろう。国際金融センターへの道も、規制緩和に絡むし、円の復権も、同じだ。日本でビジネスをやる以上は、やはり日本の経済が強くあって欲しい。

投資という仕事に就いていると、こういうお話の中でも、冷静に状況判断を行うことが求められるのだが、今日の話はあまりに歯痒い。会社として、個人として、日本の経済に貢献することはできるだろう。しかし、他の国が、国を挙げてやっていることに対し、日本の場合はあまりにも無力だ。どんな状況でも、やれることはやる、というスタンスで頑張ることに変わりはないが・・・。




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