ベスト・アンド・ブライテスト 〜 自己管理
今朝から、梅田望夫さんの『ウェブ進化論』を読んでいる。実は、この続編の『ウェブ時代をゆく』を読みたくて、その前に出された著書から順に辿ってみようと思って、急遽読み出した。
読み始めるとこれが面白い。全体の書評は別の機会があれば書きたいが、読んでいる途中に気になる言葉があった。「ベスト・アンド・ブライテスト」というのは、グーグルが人材の採用にあたってとっている主義だそうだ。「凄く頭のいい優秀な連中というのは皆、自分を管理できるのだ」という発言が紹介されている。
本当にそうだろうか?「優秀な」という言葉にはいろいろな解釈があるのではないか。僕は、グーグルという会社を否定するつもりも、『ウェブ進化論』を否定するつもりも全くない。ただ、「優秀な人は自分を管理できる」というのに100%同意できるかと聞かれると違和感を覚える。おそらく、「尊敬を集められる優秀な人は自己管理ができる人であり、そうした人であればこそ、優秀というラベルを得るに相応しい」のではないかと思う。
言い方を変えれば、「自分を管理できる人が尊敬を集めることができる優秀な人だ」ということだろうか。本末転倒になってしまった。
日本の場合、「優秀な人」に込める意味が広すぎるのかもしれない。単に記憶力がいいとか、いい学校を出たとか、ある分野についてうんちくが語れるとか、それらのイメージでも「あの人は優秀だ」と言う。このこと自体は、日本語の表現の問題なので、良いとも悪いとも言えないが、ではそうした優秀な人が自分を管理できるというのは誰しも納得がいかないだろう。
大学時代からの仲の良い友人と、昔よく話していた言葉を思い出した。「勉強のできる奴と頭がいい奴は違う」。頭がいいというのは、いろんなバランスが取れていて、勉強もできるけれど、勉強だけできるのではなく、対人関係や物事の優先順位とかについて考えることができる人、いわゆる考える力を持った人のことを言う。
おそらく、ウェブ進化論で参照するところの優秀な人というはこういう人のことを言うのだろう。グーグルが表現している英語の原文と単語の意味を辿れば、実ははっきりイメージできるのかもしれない。
いずれにせよ、自分を管理できる優秀な人というのは、そんなにたやすく見つかるわけでもない。そして、それは既に社会人になった大人に対して、教育で簡単に補充できるような能力でもなく、思うようにいかないのが現実だと思った。
- 作者: 梅田望夫
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2006/02/07
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