自腹で学ぶ意味

先日、散髪に言った。かれこれ10年近くお世話になっている理容師さんとの会話は、いつも楽しみにしている。その理容師さんは、チェーン展開している理容室でかなりの責任を任されていて、彼のお店での振舞いや会話から覗くことのできる考え方が、リーダーシップを学び実践している僕にとって、勉強になるのだ。

この週末から香港へ、出店の相談があり出張するだそうだ。お店のサービスの質には絶対の自信を持っていて、「日本人を相手とする現地営業なら多分負けない」と言っていた。実に頼もしい。

その理容師さんから聞いた話。昨年末に若い部下(やはり理容師さん)たちを連れて、いわゆる一流と呼ばれる割烹で忘年会を開いたそうだ。話を聞いていくと、費用は毎月積み立てたお金で、足りない分は各自が自腹で支払ったとのことだ。彼は、部下には時に厳しく接するが、親分肌の優しい人だ。「どうして?」と思って聞いたところ、「一流のサービスは、自分のお金を使って見ないと覚えない」とのこと。なるほど!

しかも、「同業を研究したところで学ぶものは少ない」「接客業でもある理容業界は、他の一流のサービスから学ぶべき」と彼は考えている。この理容室は、若い人が多いけれど、教育が実に行き届いていて、次も来たいと思わせるものがある。

自腹で学ぶ、他の業種や業界から学ぶ、というのは、新しいコンセプトではないものの、実際にこのように目の当たりにすると、自然に共感させられる。僕も、会社からの教育補助という制度はあるものの、教育補助を超えて本を買ったり、研修を受けたりと、プラスアルファの出費は厭わないようにしている。実際に、「自分で払っている」と思うと、金額の大小に関係なく、やはり真剣にそれを「モノにしよう」という意識が働く。

学ぶことは常に重要だ。それは、学校や本、試験勉強、資格試験だけではなく、いろいろな形でできるものだ。単純に、新聞を読んだり、人と話したりというのも立派な「学び」である。ただし、ただ漫然と読んだり、話したりということよりも、何か目的を意識することが大事だ。

今まで行ったことのないところに行ったり、入ったことのないお店に入ったり、サービスを受けたり・・・。そんな自由な発想で学ぶとなると、なおさら会社のお金では行けないだろう。どこで、何をしようか、そこから何を得ようか、と考える。そのための出費であれば、それは楽しいお金と時間の使い道ではないだろうか?



【編集後記】今日から米国出張です。空港はそんなに混んでいなかったものの、エアポート・ラウンジにはそこそこ人が集まっていて、みんな思い思いの時間を過ごしているようです。外も暗いし、出発前にぼんやり考え事をしたり、ビール片手に一息つくのも良い感じになります。




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