株主との対話

今日は株主の立場で、ある事業会社の社長さんとCFOの人と話をしていました。

もともとIR活動がそれほど強くない会社。案の定、説明も中途半端に映ったし、質問の答えも曖昧なものが多かった。会社の事業は製造業で、技術畑出身の社長さんは、財務の話題は要領を得ない。しかし、その話からは、実直さとビジネスを固くやっていこうとする姿勢が伝わり、コスト削減などの地道な努力を重ねている様子には好感が持てた。

苦言を呈すれば、古い慣習に囚われた財務戦略や苦戦を強いられている部門についての方針くらいは、はっきりとした考え方を聞きたかった。実に良い技術を持っている会社なのに、これではもったいないと思ったくらいだ。

こういう会社は一般に外国人ウケはしないだろう。しかし、そういうレベル感の会社はまだまだたくさんある。外国人ウケがないという意味では、株価は割安に放置されやすいとも言えるから、良い投資先になる可能性も高い。

技術畑のトップが会社を引っ張る姿は見ていて気持ちがいい。細かい話はできなくても、夢を語り、新しいものを世に出そうとする気概が感じられる。問題は、財務に強い人材が内部で育っていないことと、そういう人材の流動化が進んでいないことだろうか。そういう人材がいたとしても、社長が代々受け継いできた慣習を破るほどの気概が必要だろう。

会社のトップの考え方を変えることは容易ではないと思う。しかし、会社のトップであるほど、裸の王様になりやすいとも言えるので、日頃からの情報収集と、それに基づくタイミングを狙った決断が必要であるとも言えるだろう。

トップになるということは孤独なことだ。そして、人それぞれであるが、トップに対して遠慮する人や権威に平伏してしまう人も世の中にはたくさんいる。そういう人が多くなると、その会社は伸びにくいだろう。普段から、意見を吸い上げる仕組みや雰囲気、また意見を言うことはいいことだと思えるカルチャーは、会社やトップの器を決める上で大事なことなのだ、とつくづく思う。




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