あおい

あおい (小学館文庫)

あおい (小学館文庫)

西加奈子さんの小説は『きいろいゾウ』に続いて2冊目。

きいろいゾウ (小学館文庫)

きいろいゾウ (小学館文庫)

僕は、もともと映画やドラマは好きではないらしい。何故好きではないか、その理由がよく分からなかったのだが、最近読んだ保坂和志さんの『書きあぐねている人のための小説入門』を読んで、その後にたまたま西さんの小説を読んでふと思った。

書きあぐねている人のための小説入門 (中公文庫)

書きあぐねている人のための小説入門 (中公文庫)

僕は、ストーリーがある話というのが好きではないらしい。おそらく、不自然な設定があったり、不自然な謎かけがあったりすると、そこで急速に冷めてしまう。あるいは、ストーリーに自分が左右されるのが嫌いなのかもしれない。

実際の物事には、ストーリーにならない「脇道」もいろいろあるはずだし、そういう部分に光や話題を振り向けることが現実なのだが、そうすると映画やドラマは成り立たないし、それに付き合っている人も筋道が分からなくなってつまらない、ということになる。しかし、僕は今そこに流れている時間や感じていることを感じることの方が好きだから、映画を見るよりも、景色をぼーっと眺めたり、人の往来を追ったり、鳥などがそこいら辺でたたずんでいるのを見る方が好きだ。

西さんの小説にもストーリーはしっかりとあって、それでいてそのストーリーは現実には起こらなさそうなのだが、それでも脇道や様々な登場人物像がいろんな角度で描写されていて、それをリラックスしながら読んでいくのが実に楽しい。

そのあたりは、以前にこんなふうに書いている。

小説を読むという行為は、時間もかかるし、そこに映像がある訳ではないから、自分の経験や想像に照らしながら、自分の感覚を呼び起こして何かを感じたり考えていくという行為に近しい。そう思うと、読んでいる時間は自分にとって楽しい時間であって欲しいし、物語だけを追うのは寂しいのではないか、と思う。




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