白馬トレッキング

毎冬お世話になっている白馬へ、飛騨高山から前日に移動し、この日は八方尾根スキー場の上にある八方池までのトレッキングにチャレンジした。

この日のお天気は、これ以上良い天気は望めないというくらいの晴れ。僕は山の経験は多くはないが、それでも子供の頃に鍛えられたボーイスカウトでのハイキングや、社会人になってからやっていたマウンテンバイクで、天候の変わりやすさや装備の大事なことは何度となく身をもって知っているから、天候や遊ぶ時間帯には注意深い。

今日はそんな心配も嬉しい「空振り」の日だ。これまで冬の間は数え切れないくらい訪れている八方だが、夏に山に上がるのは始めて。ゴンドラやリフトを乗り継いで上がっている間、「この辺りは冬はこうだった」とか「(雪の少ない)3月に来たときは地表を見ると悲しかったけれど、今は楽しい」とか「冬は丸坊主だった木も緑がつくと違う光景だ」などと話しながらあっという間に一番高い場所まで到達する。

そこからはいよいよトレッキングのスタート。いきなり急で岩がごろごろしている路を上がっていく。息が切れそうになるところを立ち止まりながらゆっくり進む。はるか下の兎平のゲレンデ脇でさえ残雪があったから、このあたりになると尾根を行くコースの下は残雪が多い。

コースの途中になると数百メートルにわたって残雪の上を行くところも出現。コースロープとケルンを頼りに上がっていくと、そこには人の顔に見えるケルンがお出迎え。


このあたりにもなると、この日の陽気は春から夏だったけれど、咲いている花などはなく、まだ冬の様子。しかし、ここで見る残雪の量や、眼の前に広がるアルプスの山々の白い模様が圧倒的に多い様子などはこの時期ならではの楽しみのはずなので、とても貴重な時間を過ごしていると思う。

1時間20分ほどで八方池に到着。池は当然のごとく雪に覆われ、風も時折強くそんなときは寒さを感じるため、防寒着を着てしばし景色を堪能する。

行き帰りを含めて2時間半ほどのコース。八方池山荘のテラスで打ち上げのコーヒーを飲み、是非ともやりたかった山で“きのこの山”を味わった。

八方はリフト2つとゴンドラ1つを乗り継いで上がる。途中、雪解けの水がたまって湿原になっていて、水芭蕉がちらりほらりと顔を出し始めていた。


なかなか去り難い風景だったので、のんびりと時間を過ごしていると、いきなり家内が「わーっ」と声を上げる。だいたいこういう時は虫が出たときの声だが、それにしては慌てた度合いが少ない。こうした声のトーンの識別は、春からうちにやってきた子犬でかなり敏感になっているから、何が出たか?と思って聞くと「視線を感じたので人かと思って見たらあそこにカモシカがいる!」と言う。

カモシカは遠くからこちらを眺め、そろりそろりと近寄っていくと黒菱の急斜面を駆け下りていった。黒菱と言えば、冬はコブ斜面が手ごわい急斜面。「カモシカのような足」という褒め言葉があるが、なるほどカモシカの足というのは丈夫だし頼もしいと思ったのでした。




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