師匠

大学で先生をやっている師匠のところへ遊びに行った。

以前に勤めていた会社の上司である。師匠はその頃から学会の人たちとの交流が深く、今は大学だけでなくいろいろな研究会に参加し、さまざまな執筆活動でご活躍されている。

お昼ごはんをはさみながら3時間半近く、仕事や社会の話、そしてプライベートな話題までいろいろなお話をお互いして、とても楽しかった。

いつも会ったときに思うのは、師匠は常に長期的な視点で物事を考えて、そして今の制度ややり方についてはっきりと意見を言う。それでも「昔、企業に勤めていたときは言いたいことも言えない雰囲気があった」という。どうやら、官僚からのプレッシャーがあって、企業(私たちがいた会社に限らない)が公的機関から仕事をもらっている以上、言えないことも出てくるなあ〜と当時の苦労を察した。

社会的な意義という点で、はっきりモノを言う今の仕事ぶりに何も感じない訳ではない。自分も何か力になりたい、と思ったが、企業に勤めている間は現実的に無理だろうし、仮に何らかの研究機関に入れたとしても、壁は相当厚い。

そう書いていくとなんだか自分のことがちっぽけで、情けなく思ってくる。どうやらこれは、自分が評論家で終わるのを良しとしない性格と関係している。

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8月の大学は、やはり静かであった。緑が多いので、蝉の鳴き声がたくましく、陽射しも強く感じた。きっと木陰げとのコントラストがビル街のそれよりも強いからだろう。

しばらく企業で、しかも株主からの要求が強い企業で、利潤を追求する仕事をしてきた自分には、師匠との話は強いコントラストを投影するものであった。




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