ちょっとしたコミュニケーション、なのに効果的なものは?

2つほど、ほんのちょっとしたコミュニケーションで、大きな効果を感じることがありました。いずれも、社内での話です。

1つめは、ありがとうを組織的に言うこと。ある部署からとても快いサービスを受けた。当然、サービスをしてくれた人には感謝の意をその場で示したが、「部署として良いサービスをするということはマネージャーさんのおかげだな」と思い、マネージャーさんに御礼のメールを出した。

大きなプロジェクトやトラブル解決では、こうした組織レベルの感謝や認知は普通に行われると思う。ありがちなドラマのシーンですね。しかし、今回は日常の業務であった出来事である。日常のサービスとなると、ついつい当たり前のように思ってしまう。それは仕事なので、そういう意味では当たり前なのだが、ちょっとした機転や心遣いが加わった仕事は、普通ではなかなかできるものではない。特に、例年以上に忙しい時期においては…。

組織レベルの「ありがとう」メールは、やってみると作るのに意外と時間がかかる。マネージャーはその場にいなかったということとも関係するが、そのマネージャーさんの価値観や働き方に共感しますよ、という表現をするのが難しかった。電話や会って話す場合でもそれなりの準備をしたことだろう。

しかし、時間をかけるだけの意味があると思った。相手に伝えることはもちろん、自分にとっても思ったことを口に出すのは大変気持ちが良い。気付いたのに言わなかったら後悔しただろう。そんな経験だった。

僕は、マネージャーの役割を担っているので、組織対組織の関係を会社としてより良くする立場にいるし、それが仕事である。もし、これを読んでいるみなさんが担当者だったら、是非上司を動かして欲しい。不幸にもこの効果に気付いていない上司だったら、ちょっと大変な作業ではあるが、こうした動きができるチャンスはそう多くはないはずだ。


2つめは、議論を正面から挑んでくれた人に対して、そうしてくれたその価値に感謝すること。

議論は時にぶつかるもので、散々闘った挙句、合意に達し、「じゃあ飲みにいこう」なんて爽やかなシーンは今時のビジネスではまず見られない。たいてい、合意に達したら既に既定の会議の時間をオーバーしていて、慌てて次の会議に飛び移るというケースが多いだろう。

いつもだったら「忙しい」という理由で流してしまうところだった。しかも結果が合意という状態だから、「合意に達して仕事が終わったからいいじゃん」という安心感が支配する。しかし、議論が正面からできるということは、ビジネスでは大変貴重なことだ。正面が意味することは、本音を出すということだ。外資系に勤める外国人でも本音を語らない人はいる。日本人は、一般に言ってもっと本音を語ってくれない。しかし、本音を語って正面からぶつかってくる人は、会議はタフな印象になるが、お互いの合意点と合意できない点がはっきりするので、代替案を作っていく議論に発展しやすい。

僕はそうしたタフな相手を敬いたいという気持ちになった。正面からぶつかってくれるということは、自分を信頼してくれているという裏返しにも映る。文化的な違いによる部分もあるけれど、今後も本音で議論したいという気持ちになるのである。そうした感謝の意を伝えたいのに言えなかったという心残りを作るよりは、後になってからでも、時間をかけてでも、「言う」ということは良いことだ。僕は、口頭ではなく、考えを整理しながらメールで伝えたのだが、いずれにしても明らかに伝えた方がよかったようだ。

何故なら、議論の相手も似たようなことを考えていることが分かったし、何よりも自分の中で、言わなかった後ろめたさや心残りがないのが良い。心地よく仕事ができたという実感も得られた。

この2つは、その場で思ったことを言うことの方が、相手にとっても、自分にとっても、良かったという例だと言える。

迷ったら行動する。行動するなら迷わず今やる。という例でもあった。




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