仕事の引継ぎに見る仕事の本質

会社を去ることを決めてから、引継ぎに専念しています。「今までこうやってきた」「今までこういう解釈でやってきた」と過去を説明することは簡単だけれども、「こうした方が良い」「次からはこうすべきだ」と言うことは難しい。だって、無責任にも聞こえるし、言われた方も場合や人によっては面白くないだろう。

という事はですよ、引継ぎというのは一見意味があるように思えるのですが、引継ぎを受ける方の器量や姿勢が重要だということです。例えば、引き継ぎを受ける人が「それで一番苦労したのはどんな点ですか?」とか、「別の方法を考えたことはあるのですか?」といった仕事の表面ではない部分を探っていくと、本当に意味のある引継ぎになり得る。そうでないと、引き継げるものは単に過去のもの、一連の作業手順にしか過ぎないということです。

僕の方も、遠慮はしない。部下に対しては、言い過ぎない範囲ではっきりと伝える。他部署が絡む仕事になると、残された部下が仕事をしやすいように、できる限り仕事を整備しておく。それがかなわない場合、他部署で働く人たちがどういう考え方、どういう目的設定をして働いているかを、伝える。知ることによって次の一歩を考えるきっかけになるからだ。

部署間の仕事となると、本来の目的が曖昧になり、部署の保身になっていたり、そもそも本来の目的設定がなされていない場面に出くわす。それは、組織にとって、非常に不幸なことです。何でもかんでも引き受けてやるべきではないけれど、ビジネスや商品にオーナーシップを持っている人が、それを本当に世に出したい、売りたい、良いものにしていきたい、と心をこめていかないと、形あるものは段々崩れ、それなのにそれに気がつかないということが、実際にあるのです。




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