為替リスクの説明

あんまり悪口書きたくないのだけれど、FX(外国為替証拠金取引)のサイトにはヒドイものが多いですねぇ〜。

各国の政策金利の推移を調べたかったので、ネット検索してみると、数々のFX会社が丁寧かつ親切に教えてくれました。それ自体が驚きだったのですが、難しい為替の予測にあっても、金利差は重要な要因だから、そういう情報を載せているのだと思ったところまでは良かった…。

しかし、よく見るとスワップ・ポイントという言葉を使って、外貨取引を明らかに誘発しているサイトが!

金融業界に長い間いるのに恥ずかしながら「スワップ・ポイント」という言葉を始めて知ったのでそのサイトの説明を見ると、外国の金利と国内の金利の差を言うらしい。例えば豪ドルが年4.1%で日本円が年0.1%だと、4%がスワップ・ポイントとなる。まあ金利ですね。

驚いたのはここからで、この4%というのが「ポイント・サービス」のニュアンスで言うところの「ポイント」なのだそうだ。豪ドルを買う(円を売りますよね)と、金利で年4%儲かるポイントがゲットできるのだそうだ。もちろん、そのポイントは誰かがクーポンとしてくれるものではなく、ポイント・カードに記録される訳でもなく、為替取引をした人が仮想的に、持っていると思い込むのである。

仮に、豪ドルが安くなることがあっても、ポイントを先に持っているから余裕がありますよ、と言う。また、他の通貨でポイントがマイナスだとしても、その通貨が上がればポイントを取り戻すチャンスがある、と言う。

これって為替リスクの説明には全くなっていませんよね。

プロがやっても当たらない為替の理論をここで書いても仕方ないのですが、少なくとも為替レートを決める為替取引には、貿易などで入手した通貨を換金する実需(じつじゅ)と呼ばれる取引と、金利差を見た取引があり、取引の結果として為替レートが刻々と決まっていきます。金利差の取引は、先の例を使えば、1年後に1.041倍(=1+4.1%)された豪ドルと、1年後に1.001倍された日本円が同じ価値になるはずだと考え、そのためには豪ドルが安くなると予測した取引(つまりは豪ドルを売る取引で、ポイントが減る方向)をするのです。

実際には、貿易や資産取引による通貨需要がそこに加わります。資産取引というのは株や債券ですね。ギリシャのニュースに見るように、国の財政に関する信用が落ちたりすると、その国への投資を引き上げる動きが増えますから、為替は動きます。もっとも、その分、ギリシャなどは金利も上がっていくので、事後的に見れば金利差と為替が整合的に見えたりします。

FXが良くないということを言いたいのではなくって、ちゃんとした説明をしているサイトを使って、自分で判断して投資をしましょう、と言いたかったのです。金利はコツコツ貯めるものなのに、為替は一瞬にしてその貯えを失うことがあります。そういう事態を想定して、為替レートの見通しに賭けるならよいでしょう。

そのサイトが悠然と存在することから類推すると、金融庁による業者への指導は不十分と言わざると得ません。自己防衛しましょう。




こちらへも遊びに来て下さい。→金融の10番は日本人に任せろ!