経済学思考の技術
タイトルが面白かったので手にとった。経済学思考以前の論理的思考に関する記述がなかなか面白い。「たとえ話」は自分に都合の良い方向にもっていけるし、ことわざや故事も世の中には大抵相反するものが存在するので当てにならない、という部分は説得力がある。何を隠そう、僕もたとえ話が好きな方で、これは物事を分かりやすくするというメリットもあるのだが、結論に誘導するためにも使っていたかもしれない。大いに反省したい。
経済学で使われる視点がコンパクトにまとまっているところが良い反面、90年代以降の日本経済の解釈と処方箋の議論に入ると、デフレが問題であってインフレ・ターゲットをはじめとするリフレ政策が有効という主張にまとめあげていく、論点を収斂させていく、ところに違和感を覚えた。デフレが問題であることに異論はないし、リフレが有効という議論の仕方も分かるけれど、インフレ・ターゲットについては、経済学者の間でも様々な議論がなされているようである。本書は、リフレについて書いたものではないから、さまざまな議論については参照していない作りになっているが、だとしたら、「主張しすぎじゃないか」っと思ってしまった。このあたりは、タイトルと内容をチェックする出版社側に問題があるように思う。
記憶の世界ですが、インフレ・ターゲットについては、新聞紙上でも一時期議論が分かれていたように思えます。ネットでは、各々の主張が繰り広げられているような印象を受けたので、慎重に見てみたいと思うのですが、今日の新聞にも出ていた「経済産業省の産業構造ビジョン(案)」とも併せて、見ていきたいと思います。
- 作者: 飯田泰之
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2003/12/11
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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