Unconstrained Equity 〜 ベンチマークにとらわれない株式投資


先日の記事「デフレ下の資産運用術?」で、デフレが進む日本などの先進国では、TOPIXなどの市場インデックスをベンチマークとして採用し続けることは、果たして効果的なのだろうか、という話をした。

既に多くの企業が消費を刺激できずに苦しんでいる。景気刺激策として、政府ができることと民間ができることはそれぞれあると思うが、それでも人口が減っていく社会において、今存在するすべての企業が成長し続けることは想像しがたい。

となると、ベンチマークそのものが見直されても良いと思うが、日本のTOPIXは企業数が多すぎる。それにデフレで残れない企業を選別するということはアクティブ運用そのものだから、ベンチマークを見直すこととは相容れない話でもある。

2010年6月14日付のPension & Investments (Online版)で気になる記事があった。"U.K. investors break free of benchmark shackles"という見出しのその記事は、UKの機関投資家ベンチマークから離れていっているという流れを伝えている。"Unconstrained Equity"と呼ばれる戦略は、ベンチマークを意識せずに、有望な企業に投資をしていく、いわゆる絶対リターン型の運用だ。こうした流れは、UK、欧州、アジア、オーストラリア、カナダで見られるという。米国(記事では書いていなかったがおそらく日本)ではこうした動きはない。

理由は単純で、過去(例えば10年)の株式のリターンが十分ではないことだ。記事ではデフレとの関連は触れていないものの、ベンチマークに囚われない、Unconstrainedな運用に目が向いているという。

もっとも、ベンチマークから離れるには時間がかかるという意見や、Diversified Growth(おそらく新興国を含む成長株投資を言っているのだろう・・・)も依然人気があるという意見が紹介されているが、いずれにせよ、伝統的なベンチマークを意識した投資にこだわる投資家は減っているという話である。

UKは日本以上に自国にこれといった産業や企業がなく、少ない投資先と比べて投資マネーの存在は大きい(他地域比)から、「ベンチマークに勝つには難しい」と英国の同僚が昔嘆いていた。だったら「ベンチマークをなくしちゃえ!」というのは大胆な発想のようだが、機関投資家は資金の出し手に対してリターンを上げる責任(受託者責任)があるから、こうした考えに行き着いたのだろう。今後の動向に注目したい。


【編集後記】
夏風邪が長引いてしまっています。普通に生活はできるのですが、温度差に体がついていけません。今日もこれから薬をもらいに行きます。汗と冷房が大敵ですね〜。
さかのぼること30年。小学校の林間学校で高熱を出し、先生の車に乗って帰ってきたことが思い出されます。それ以来、夏風邪を引くと時間と体力が奪われる記憶しかありません。
体調にはくれぐれもお気をつけ下さい。




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