NHKスペシャルを見て 〜 アジアの中の日本を見る

昨晩やっていた特集灼熱アジア第1回、タイ、“脱日入亜”日本企業の試練は、なかなか面白かった。次回再放送は8月24日深夜0:15からだそうです。

途中から見たので、全体の印象は語れないのだが、それでも

  • タイの企業が日本企業を買収
  • そのタイの企業が不採算の日本国内の一部工場を他社に売却
  • 日本を含む部品メーカーが、東南アジアの国境を越えて、完成品や中間品をやりとりしている様子
  • 日本の技術者がタイ企業に溶け込み、技術を伝える様子
  • タイの技術者が、日本の熟練工でも難しい溶接技術を修得
  • タイの不動産マーケットが、日本企業の進出によって活況の様子

などを見て、現場の臨場感を得るとともに、今後の日本について考えさせられました。リンクのページにも書いてあった『将来、生き残るすべは、生産ネットワークの一員としていかに優秀な歯車になるのかということしかない』は、ジャーナリスティックな問いかけだけれども、自分の会社が外資、しかも欧州や北米ではなく、東南アジアや中国企業に買われるということはこれからも増えていくのでしょう。

今までは、日本の企業が労働力の安いアジアに出ていた。したがって、経営という点では日本の企業によるものだった。しかし、今回の番組は、アジアの企業に買われた日本企業や日本の従業員の生き残り方についてのレポートです。経営者は現地、タイの人々。経営者のバックグラウンドは報道されていなかったようだが、おそらく米国などで教育を受けたのだろう。なぜなら、米国的な経営スタイルだったからです。

番組では日本人技術者の心の揺れ動きを追うような映像だったが、資本が外資になるというのは、そういうことなのだと思う。問題は、海外の資金が日本企業を通じてアジア地域に入るか、それともこの番組のようにアジア企業を通じてアジアに入るか、です。資本は、経営効率や成長性の高い企業を好むから、一般的に日本企業が技術力だけを持っていても不十分で、外資に買われないような企業価値を財務的にも身につけないといけません。

日本企業にとっては、経営効率をいち早く見直す必要があるのでしょう。そして、日本の技術者や従業員にとっては、資本が日本だろうが外資だろうが、グローバルの競争に勝ち抜く技術や能力を高め、日本人だからという先行者メリットに浸らずに、新たな価値を産み出す努力が求められるのでしょう。

日本経済を牽引してきた輸出産業がますます抱えるであろう問題なので、マクロ経済的には極めて厳しい話です。外資による日本企業の買収は、人と技術を海外に流出させます。それで、日本国内に需要と供給が生まれればまだ良い方ですが、いずれも海外に移転するような買収劇になると思います。

このような将来に対し、どんなに日本の政治家や官僚さんが奮闘しても、鎖国でもしない限り海外からの資本の流れは止まらないと思います。(鎖国と書きましたが、それは非現実的ですね・・・。)外国企業の付加価値も貿易黒字も、日本のGDPにも貿易黒字にもなりませんから、それで円が安くなるなんて言う戦略は自虐すぎて笑えませんよね。やはり、新たな需要が期待される産業に人を集める工夫が必要です。



【編集後記】
先週の後半から夏休みで、長野県白馬村に行ってきました。郷里は違えど田舎育ちの僕と妻は、夏の青空と白い雲、高い山に囲まれた田舎で、山遊びや川遊びに興じて大満足でした。
白馬エリアには、往復3時間くらいのトレッキング・コースが幾つもあります。特に、冬のスキー場のリフトやゴンドラを使って、そこから登るコースは視界、そして高山植物、ともに見ごたえがあります。標高が1500メートルを超えますので、真夏でも上着や雨具を持参し、そして突然の雨でも滑らないようなシューズを履くことをおすすめします。
歩いた後は、やっぱりお酒(冷酒)です。大雪渓や白馬錦が有名ですが、今回は酒屋かじくらさんオリジナルの「白馬連峰」を楽しみました。




こちらへも遊びに来て下さい。→金融の10番は日本人に任せろ!