調べてみようかな? 〜 ベンチャーキャピタルに復活の動き

2010年8月31日号のエコノミスト誌に、「ベンチャービジネスに資金供給再開の動き」という記事があって、興味深かった。

それによると、「再開の動き」の象徴として、エッジキャピタル社(UTEC)が2010年6月に約76億円のファンドを集めたことが紹介されている。同誌によれば、ベンチャーキャピタル(VC)はライブドア事件の後に急速に縮小し、新規ファンドは2006年の約2000億円から2009年には約36億円にまで減ったそうである。

そのエッジキャピタルは、東京大学と連携し、主に東大の技術や人材を活用するベンチャー企業への投資を行っている。医療や技術系の企業への投資が多いが、ライフネット生命保険へも投資しているところが面白い。同社の投資先であるテラ(サイトの入り口は重いみたいです・・・)が2009年3月にIPOを行ったことが、VCへの関心を再び集めたそうだ。

こうした動きで気になるのは、個人や年金などがどうやって投資できるかという点。以前のブログ記事「デフレ経済下の資産運用術」では、国を代表する株価指数などのベンチマークに投資し続けることのリスクを書いた。そのリスクを緩和するには、個別株を選ぶか、ベンチマークにとらわれない投資信託に投資することが考えられる。全額を変える必要はないけれど、製造業のグローバル競争が一般化した現在、今が時代の変わり目である可能性は否定できないと思う。

VC投資は、そうした緩和策の一つの選択肢となるのではないか。特に、デフレに悩む日本全体を憂うのであれば、今後の雇用と納税に貢献できる新しい企業、新しいビジネスに投資をすることは、他の国内金融資産を防衛するためにも効果的であると思う。

エコノミスト誌は、他にもVCの紹介をしている。ターンアラウンド・コンサルティング社である。同社の投資先の全容はうかがえないが、やはり技術系の会社が多いのだろう。高度な技術や、すきま技術は、日本がこれまで実績を挙げてきたところだし、今後も大いに期待ができる分野である。

そうした分野に加え、日本が中国やアジア諸国に対して優位性がありそうな商品を作る企業を、創生期から育てていくファンドがあったら良いのにと思う。以前に書評した「デフレの正体」では、軽工業にチャンスがあるという説が展開されていた。日本よりも人口が少ない国で、外貨を稼いでいる国にイタリアとフランスを挙げ、そうした国がブランド品や加工食品(酒類含む)の輸出で稼いでいる例が出ていた。

そうした例を日本で増やすためには、大企業だけではなく、中小企業や新しい企業を金融面でも支えていく必要があるだろう。軽工業では、ハイテク企業よりは少ない資本で済みそうだが、人材が必ずしも揃っていなかったり海外の販路を開拓するなどの事情から、一定の資本が必要だろう。僕個人だったらそういうファンドに投資したい。

僕が好きな話は、中国人観光客が秋葉原で買う人気No.1商品だ。それは、高級炊飯器だそうである。僕は炊飯器には詳しくないので、中国企業がキャッチアップするのにどれくらいの時間がかかるかは計りかねるが、そういう”こだわり消費”分野も日本の強みになるのだろう。もちろん、日本が誇るアニメや文化は、既に海外ではブランドとなっていると聞く。

次回(明日は難しいと思いますが・・・)、個人や年金がそうした企業やファンドにアクセスする方法について調べてみたい。ちらっと検索した感じでは、それは簡単ではない印象を持ったのだが・・・。(詳しい人や書籍、サイトなど、ご存知の方は是非教えてください。)




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