資産運用と豊かさの関係

日経オンラインに、「ひふみ投信」ファンド・マネージャー藤野さんのコラムが連載されています。少し前の記事ですが、「自分、他者そして社会。投資するから『豊か』になる。」は刺激を頂きました。

「投資をして豊かになる」というのは、金銭的なことだけを言っているのではありません。藤野さん曰く、「本来の(投資の)意味は、エネルギーを投じて成功体験とか社会からの期待とか、何らかの形で一部お返しをもらう活動なのです」とあります。

表現が少し分かり難いですね。まず藤野さんは、次のように言います。

お金はプライベートなものだから、まずは自分のために使って、次に家族、そして他者、そして社会のために使う順序ではないか。

順序は個人によって、好みが分かれるところでしょうが、平均的な姿は上記のとおりなのでしょう。ポイントは、投資はお金儲けを目的とするのではなく、投資するお金をどこへ向けるとか、投資して得たお金をどこへ向けるとか、そのプロセスが肝心だということです。つまり、投資という活動そのものから、得られる何某かの心の充足が「豊かさ」であるということです。

このお話は、最初の投資先をどこへするかという問題と、投資して得られるお金をさらにどこへ投資するか、という重層的な関係があるようで、話をややこしくしますが、議論の本質である「心の豊かさ」という点ではどちらを見ても変わらないでしょう。

投資そのものは、お金さえあれば、どんな気持ちでも行うことができます。例えば、それがお金儲けを目的としても、法や倫理に反しない限り、誰にも文句は言われないですね。

しかし、「豊かさ」というのは物質だけで得られるものではなく、人間性を高めて他人に奉仕することで得られる「豊かさ」の方が大きいという捉え方があります。その「豊かさ」は自分の中に根付く「絶対的」なもので、他人と比べた「相対的な」豊かさとは違う、と先の記事では書いています。

投資に向き合う姿勢は個人の自由ですが、このような見方をしてみると、実は自己を高め、他人を助ける手立てになり得るというのが、投資の面白いところであり、本質的にもっている素晴らしい点だと思ったのです。

その議論を別の言葉でとらえると、社会貢献としての投資や寄付と、自分への投資、事業会社への投資(例えば株式投資)の関係を、1本の線で結んでくれたようです。目から鱗でした。

この考え方は、以前の僕の記事「投資を通じた社会貢献に消費のマインドを入れてみると」と通じるものがあって、嬉しかったです。




こちらへも遊びに来て下さい。→金融の10番は日本人に任せろ!