今さらだけれども 〜 羽田と成田の一体運営

新しい羽田国際ターミナルが話題になっているようだが、盛り上がらないのは僕だけだろうか?冷めた感じが否めないのは、せっかく羽田が国際化しても、それでは不十分だからだ。

羽田の国際化については、成田の人には申し訳ないが、僕は賛成だ。夜間発着が可能で都内に近い。海外の主要都市と比べると、決してタクシーでは行けない成田は極めて不便だ。

羽田の国際化が不十分だとするのは、発着数の限界にある。西日本新聞さんの記事によると、現在の成田は年間22万回の発着があるのに対し、羽田は頑張っても国際線向けには最大9万回の発着にとどまるそうだ。いずれ、滑走路を増やすという話がまた出てくるのかもしれない。

5年くらい前に感じたことだが、成田空港に朝行くと、中国の各都市やアジアの主要空港への便が多いことが分かる。この動きは、ますます加速するに違いない。多くの日本企業が商売を営むには、アジア市場に飛び込むことが重要であることは言うまでもない。人の動きも、そうした企業の従業員や、中国人をはじめとする観光客など、ますます大きくなるに違いない。

中国に行くのに、成田への交通はちょっと辛い。車は渋滞のおそれがあるし費用も高い。電車は在来線と線路を共有しているから、便数が少なすぎるし、スピードが遅い。


最近、もう1つの冷めたニュースが僕にはある。東京・大阪のリニアだ。

コチラの記事に直線コースとそれ以外の経済試算がざっくりまとめられているが、これも利害が絡む人には大変申し訳ないが、直線に決まっているだろう。

それどころか、本当に東京・大阪間のリニアというのは必要なのだろうか?

おそらく、在来新幹線の輸送量とか、創出される経済効果とか、から必要となっているのだろう。しかし、既に速い在来新幹線をリニアで速くすることで、本当におつりが来るのだろうか。まさか、速くなる分、利用者がお金を払うことにはなるまい。

費用対効果についての分析は、いままで注意深く目を通してこなかったので、今後注目してみたい。経済的な要請だけではなく、東海沖地震の対策という側面もあるのかもしれない。おそらく何らかの納得する説明があるはずだ。懸念されるのは、僕が子供のころ、もう30年以上も前に、「東京・大阪間はリニアになる」「リニアは夢の乗り物だ」と言われていたというお話だ。もし、そのときの計画が、前提を変えずに進んでいたら、それは悲劇だ。

費用は5兆4300億円だそうだ。昨日はJR東海株が急落した。調べるまでもなく、投資家の方が賢いだろうか。

そこで思い起こすのが、羽田・成田間のリニア構想だ。より詳しい記事は、コチラ

それでも総事業費がざっくり3兆円(詳しい試算ではないらしい…)。もし空港間だけで運行したら、運賃は取れないから、事業採算を取るのはかなり大変そうだ。

しかし、国際化した羽田では賄えない旅客・貨物需要を、「では成田に行ってください」と言うのではあまりにも、お粗末な話だろう。本気で、国際ハブ空港をめざすなら、空港間を日本のお家芸の電車で直通運転するしかない。空港間をチケットなしで、15分くらいで移動できるのであれば、海外の飛行場と比べても悪くない。

成田空港を引き続き有力な資源として使うという手が、これによって生きてくる。今朝の日経が言っていたような「格安航空会社の誘致や国内線の拡充」では、成田はいずれジリ貧になるだろう。なぜなら、今のように、成田が都内から遠く、羽田と分断されたままでは、誰も投資をしたくないからだ。羽田の拡大という話に国はお金を払っても、成田にはお金は出ないだろう。それとも、地方空港行政の集大成を、ここで見せつけるのだろうか。


羽田・成田をリニア化しても、旅行者からお金を取ってはならない。正確に言うと、海外渡航者が乗り換える場合は入国させてはいけない。国際ターミナルのゲートの向こう側で、直通運転をするということがスピード維持のために大事だからだ。

本当に狙うべきは、羽田・成田間で実績を得たリニアを海外へ売ることだろう。おそらく、海底トンネルや都市部のトンネルなども作ることになるだろうから、システム一体で売るのに恰好の展示場になるはずである。空港内の施設なら、外国人が経験する機会も増え、人の話題にも上がりやすい。今後、需要がどうなるか分からない東京・大阪間で、国内から円を稼ぐよりも、高速鉄道というシステムを国際営業して、外貨を稼ぐ方が、将来の日本にとってお得のような気がしてならないのだが…。




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