書評〜シンクロニシティ、未来をつくるリーダーシップ

リーダーシップに関する本をいろいろ読んできた僕ですが、この本には終始やられました。

リーダーシップについて学び、そしてそれを実践するときに、大事なのは「行動」ではなく「あり方」なのだ。

この本の解説をするには、僕の経験は未熟すぎるようです。その代わりに、以前に紹介した2冊の本を紹介させて頂きます。「運命の法則」「あんたの神様

どちらも、自分では信じられないくらいの力が出せて、不思議なほど必要なときに必要な人と出会うというお話です。本書でも、それらの本と共通する出来事が紹介されています。

では、リーダーシップの「あり方」とは何であって、それはどうやったら身に付けられるのか、という疑問に対して答えなければなりませんね。それこそが本書の肝ですが、実はもっともお伝えしにくい部分です。僕自身、「こういうことかもしれない」「あの時の自分に似ているな」という感じはあっても、それを言葉にして伝えることができないでいるのです。

言葉にできない、ことは「無なのか」それとも「理解不能なのか」というと、それとも違います。本題ではありませんが、1つ、本書から気に入った表現を引用すると、「私たちは目にする世界を言葉にするのではなく、言葉にする世界を目にするのである」ということです。これは言葉が後から誕生したことを示していて、「われわれの問題は、これらすべてを表現するための、すなわち、この世界において人間的であるとはどういうことかを語るための、語彙も言葉もほとんど持っていないということだ」という表現の裏返しです。

何が言いたいのか、これでは伝わらないですよね。

読み進めていくと、リーダーとしてのあり方だけでなく、1人の人間としての生き方についても触れていることに気付きます。そのような中、「奉仕しあうリーダーシップ(サーバント・リーダーシップ)」という考えが、著者が自らの考えに気付くきっかけとして出てきます。

リーダーは、自分自身が目立つ存在になるのではなく、チーム全体をどうやって高い位置に登らせるかという役割の担うのです。人々のために何ができるかを未来志向で考える、相手に愛情と思いやりを注ぐ、心をこめて行う、ことに専念するのです。

リーダーシップの「あり方」について、本書ではもっと説明をしていますし、言葉ももっと深いのですが、かなり要約をすると上記のようになると思います。

それにより、「相手が引き寄せられ」そして「自分の理念や理想が実現できる」と言えば、かなり論理的な説明に聞こえるでしょうか。本書の立場では、論理を超えた何かが働く、ことを伝えたいらしいです。運命とか使命の領域ですね。


リーダーの「あり方」について仮に分かったとしても、次に、それを活かす対象(自分の理念や理想)をどうやって見つけるかという疑問がわいてきます。これについては、本書からの明示的なヒントはなかったのですが、準備を怠らず、それによりチャンスと察知する感覚を研ぎ澄ませるしかない、と思いました。このことは、先に紹介した2冊の本でも共通して述べられているところです。

ロジカル(論理)を超越した話が多いので、つかみどころがないと思う人がいるかもしれません。しかし、別の場所で書かれた3人の3冊の本が、同じようなことを言っているということは、無視できない何かがあるのでしょうね。

シンクロニシティ 未来をつくるリーダーシップ

シンクロニシティ 未来をつくるリーダーシップ



【編集後記】「論理を超越」と言うと、先日読んだ「これからの思考の教科書」を思い起こします。論理的なロジカル・シンキングと直感的なラテラル・シンキングという話がありましたね。
本書では、難しくない程度の物理学の話が出るのですが、「ニュートン力学が論理の代表で…」という意味で書かれていました。きっと、僕らが学校で習う範囲の物理学は、論理を鍛えるという指導要領にもとづき構成されていて、ゆえに論理的なのでしょう。しかし、物理学には、物質が相互作用するという分野があるようです。これは、20年前の大学(注:僕は理系だけれども物理専攻ではない…)でも出てこなかったと思います。
論理では説明できないから直感が生きる。あるいは直感に頼った結果、相互作用の状態に引き寄せられる。そんなイメージでしょうか?直感というと、「これからの思考の…」で紹介されていたラテラル思考(水平思考)とつながりますが、案外これらの話はつながっているのかもしれません。




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