映画〜人生万歳!

先日は小説について感想を書きましたが、それ以上に頻度が少ないのは映画観賞です。しかし、先週見た映画が面白かったので、感想を書いてみます。

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人生万歳!は、ウディ・アレン監督の作品。ニューヨークを舞台に、というかニューヨークだけが舞台で、人生とは何だろうという視点を、皮肉を交えながらも楽しく描いている。

主人公は、ノーベル物理学賞を取り損なったというかなり年配のおじさん。(おじいさん?)

理屈っぽい、皮肉が多い、他人のことを褒めない、自分中心、話し出したら止まらない、物事をステレオ・タイプで決めつける、などというデフォルメされた特徴を持つが、実際にそういう人物がいても不思議ではないほど面白い。実際に、僕の知人のアメリカ人には、彼に結構近い人物がいたりする。

彼の個性が、映画を通して、強烈かつ前面に出るのだが、最初は嫌味を覚えたその人間性も、彼をとりまく人たちの反応を見ていくと、だんだん嫌でなくなっていく。彼の個性がユーモアの元になっている部分もかなりあるためだが、彼の特徴であるステレオ・タイプの見方は、理性的には良くないと思いつつも、ついそうした見方に居心地の良さを感じている自分に気付いたりするのだ。

そういう皮肉のたぐいを、主人公は数多く口にするが、皮肉が誘う笑いというのは、映画というリアルな自分とは関係のない世界ゆえ、無防備になれる面白さがある。「その皮肉をスクリーンで流して大丈夫なのか?」と思わなくもないものの、多くの皮肉はアメリカ人同士における価値観の違いに対するものだったりするので、日本人であればそんなにセンシティブになることはないだろう。

かなり笑わせてもらった映画だったが、たくさん笑った故に、何が「人生万歳!」だったのかを思い起こすのは難しい。最も単純な話だけについて言うと、1つの価値観に縛られた人というのは、人生の目標や達成感を、その価値観によって定義付ける傾向にある。つまり、そうすることが、その人にとって本当に幸せなのか、というと必ずしもそうではないだろう。

そうした価値観を崩すというのは、映画だけでなく現実の世界においてもよく聞く話だが、価値観を崩すのは思いもよらない出来事によってもたらされる、という部分が面白い(=万歳)のだろう。




【編集後記】メッセージ的には子供にも見せたい映画ですが、子供には不適切な表現が多いので、親子連れにはお勧めしません。(確か制限があったようです。)
東京では、閉館が決まった恵比寿ガーデンシネマで、2011年1月28日まで上映しています。お早目に!




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