危機管理 〜 災害時の連絡手段

3月11日の震災。僕は大手町のオフィスにいて、その後大事な用事があって目白まで歩いて移動。そもそも目白に行くべきかも悩んだが、電話が通じず、電車もタクシーも使えなかったので、やむなく徒歩で移動した。目白に着いて、事の深刻さを次々と知らされ、そこから自宅まで歩いて帰った。

ご近所の人に聞いた話によると、その人は奥さんに迎えに来てもらって家に帰ったらしいのだが、僕が遠回りをしてまで着いた時間をはるかに超えて帰宅したそうだ。地震の当日は、夜の10時〜12時くらいまで、都心の地下鉄は動かなかったから、多くの人が車で脱出しようとし、都心から放射線状に伸びる道路はどこも大渋滞だった。

僕が家に着いたのが深夜の12時近く。その日は、携帯電話は一度もつながらなかった。仕事で使っているドコモも、プライベートのiPhoneもだ。SMSは夜9時くらいには使える状態にあった。つまり、地震のあった午後3時から6時間近くは、携帯電話は使えなかった。震源から遠く離れた東京でさえ、こういう状態だった。

多くの人が指摘しているように、固定電話と公衆電話の組み合わせはつながった。僕がそれに気づき、家にいる家族と連絡できたのが午後5時くらいだっただろうか。電話のありがたさを久しぶりに感じた一瞬であった。しかし、今どき、公衆電話を探すのは容易ではない。幹線道路を長い距離歩いていると、稀に1台の公衆電話にでくわすことがあって、その日は数時間ごとに家族との連絡を取った。駅前などの人の多い公衆電話は、行列ができていた。自宅の固定電話は滅多に使わないが、解約しない方が良いと思った。

後から聞いた話では、ツイッターGmailは通信手段として有効だったらしい。どうやらそれらのサーバーは容量が大きいか、ツイッターなどはユーザー数が限られる上に140文字というコンパクトさが良いのだろう。これらも、次回(ないことを祈る)の災害時に使えるかどうかの保証はないが、いろいろな通信手段を普段から持っておいて、災害時には駄目もとで使ってみるという姿勢が、有効なようだ。

家族との連絡でもこうなのだから、会社で連絡手段を確保することは、もっと大変だ。僕の会社では、震災の日、たまたま多くの人がオフィスにいて、かつ直接的な被害がなかったから良かったものの、これがもっと深刻な状況だったとしたら、大変だっただろう。東北地方を拠点とする会社や、支社を持つ会社は極めて重大な状況に陥ったのに違いない。

普段より、ビジネス・コンティニュイティ・プラン(BCP)という名のもとに、災害時の連絡網などを整備している会社は多いと思うが、肝心の情報手段が数時間にわたって使えなかったら、意味がまったくない。この点は、今後考えていかないとならない。

余談になるが、Gmailが使えたのと同様に、Google Mapがしっかり使えたのにはびっくりした。そして、Google Mapのおかげで、徒歩でも効率的に帰ることができた。車を使うことが多いと、どの道が最短なのかという意識は普段持たない。しかし、数時間も歩く状況では、道を一本間違えるだけでも大変な消耗になる。

ランニングが趣味の僕は、20キロくらいは平気で走れるのだが、革靴の場合は勝手が違った。道路に被害がない状態でも大変だったのだから、歩きやすい靴は避難や帰宅の際の必須アイテムだと思った。次の週、さっそくジョギング・シューズを会社に持っていったのだった。これも、もしかするとトレッキング・シューズか登山靴に、アップグレードすべきなのかもしれない。




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