レスポンシブル・カンパニー

パタゴニアの創業者であるシュイナード氏が著者です。僕は、パタゴニア大好き人間なので、読む前からバイアスがかかっていましたが、わたしたちの経済活動が及ぼす、環境への負荷について思いを馳せ、今から手にとる(購入する)商品について、ちょっとだけ考えてみるのに良い本かもしれません。

パタゴニアと言えば、包装紙がないので有名ですよね。最初にお店に行ったとき、「あっ、バッグ持ってくれば良かった」となりました。そういうやや不便なパタゴニアでのショッピングも、別のお店でのありふれた光景、商品を紙で包み、紙のバッグに入れ、「今日は雨だからビニールかけときますね」という経験をすると、マイバックってちょっと良いかなって思う。

「いや、袋いらないです。かばんもってるんで」という行動も普通にできる。

環境への責任も、考えれば考えるほど重く、そして窮屈になると感じるのですが、できる範囲で、ちょっとの気遣いで、というのがまずは良いのでしょうね。どんな製品も、サービスも、地球に対して負荷がない状態では提供できない。私たちがこれから手にとる商品は、そうした負荷を超える付加価値があるかどうか、ちょっとだけ考えてみたらどうでしょうか、という問いかけにどきっとしました。

社会的責任については、資産運用で企業評価をするときに、数多くの評価基準の1つとして見ることもありました。しかし、パタゴニアを含め、企業がモノを生産する以上、利益は出さないといけないし、株主への責任も果たさないとなりません。

その点もシュイナード氏は踏まえていて、社会的責任が唯一の座標軸になるなどという主張は展開されていません。生産に携わる以上はジレンマがあって、それに途中から気づいた様子は自然を愛する人には辛い事だったでしょう。

僕もスキーやトレッキングが好きで、自然に身をおくだけでさまざまなエネルギーをもらっていますが、自分ができることって「自然への思い」とは別に限られる訳です。それでも、何もしないよりは、やれることからやった方が良い。

モノを買って豊かになろうとする消費社会は、先進国では既に変わってきていて、そうした『ポスト消費社会』では、環境責任や社会責任に、応分の意識を向けている会社は、支持されていくべきだろうなあ、とも思いました。

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