きょろきょろ効果〜現場力を磨く行動とは?

前回頂いたコメントの中に、「議論が行き詰まったときに、どういった視点からそれを打開するのか」「普段からどのように周りを見ておくべきか」というご意見を頂きました。このコメントで頂いたポイントは、議論に”先立って”いかに周りを見ておくか、ということだと思いました。

「周りを見る」というのは、僕の中での「現場力」に欠かせない要素です。これは、難しい理屈ではありません。例えば、「普段と違うことは何か?」「それは何故か?」という直感や疑問を、視界や意識のどこかに置いておくことです。

「どこかに置いておく」というのは感覚的、無意識の世界で伝わりにくいですね。意識的に行う方法としては、ひと呼吸する瞬間、あるいはちょっと疲れて背伸びでもする瞬間に、くるっと周りを見るだけでよいのです。そんなときに、いつもと違う光景が目につくことはありませんか?

例えば、チームの誰かがテンパってる、いつもより忙しそうな人がいる、ひそひそ話がいつもより長い、いつもいないところに人が集まっている、メールの語調がいつもより強い、なんとなく疲れて見える、声が枯れている、ゴミが散らかっている、電球が切れたままになっている・・・などです。

現場で何かが起きるとき、それが表に出たり誰かに教えてもらうときは、既に手遅れだった、というのは誰しも経験すると思います。「何かが違う」を感じることはそれ自体では何も意味を持たないですが、「どうしたの?」と声をかけたり、自分で理由を探るくらいのことはできます。誰しも、自分では気づかないうちに事が悪い方へ進んでしまったり、声をかけてもらってハタと気がつくことってありませんか?そんなきっかけを、いつもよりちょっとだけ、「きょろきょろ」することで、与えることができるかもしれません。

みなさんの仕事が忙しいときは、要注意です。また、仕事効率の高い人は、ついつい自分のペースに乗ってしまうので、やはり要注意。ちょっとした余裕が必要なのですね。あるいは、考え方を変えて、きょろきょろする時間を少しだけ意識的に設けてみるのです。

周囲を見るというのは他でも経験できることです。スポーツでは「誰にパスすべきか?」をボールが来る前から常に考える。サッカーの中田選手がよくやっていましたよね。ボールが来てからでは遅いのです。日常では、「懇親会では誰が退屈そうか?」「飲み会では誰のグラスがあいているか?」「お店ではどの店員さんが使えそうか?」などでしょうか。

大したことではないように思うかもしれません。確かに1つ1つはつまらないことです。でもこうした意識や積み重ねが「より大きなことに気が付く力を養うんだ」と僕は信じます。

いろんな人からいろんなことを聞いたり、教わったり、学んだりすることは幾らでもできますが、気づかないといけないときに、しかもそれを独力でやらないといけないとき、頼りになるのは最後は自分ですから・・・。でも、それは特別な能力が必要というよりも普段から他人や物事に興味を持つことなんだと思います。


【編集後記】自分で書いていて何なのですが、断片的な記憶が蘇ってきました。昔の上司に「他人に興味を持て!」と言われたことがあります。このことだったのかもしれません。




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