書評 〜 ヤバい経済学

『ヤバい経済学』(英語ではFreakonomics)を読んだ。題名の「ヤバい」の意味が最初は分からなかったが、犯罪などに関連する原因や、人の行動心理について書いてある。この本は、経済学と構えて読むよりも、次に挙げるような心理学の視点が斬新で面白いと思った。

  • 必ずズルいことをする人が出てくる
  • 人間はインセンティブがないと働かない
  • 損得を計算するのが人間

経済学はインセンティブの学問だと言う人もいるくらいなので、人の心理とは密接に関わりあう。まさに経済学が社会科学たる所以である。


しかし、この本には、もう一つの「ヤバい」がある。「本当にこんなこと書いちゃっていいの?」という話題である。銃規制を始め、アメリカの世論が二分するような話題について、これまた経済という視点で書いている。これは、読者によって好みが分かれるところだろう。

経済学は、さらに細分化された学問領域があって、それぞれの分野に専門家がいる。例えば、経済統計を使った分析、企業統計を使った分析、国際経済、計量経済などだ。それぞれの分野でいろいろな議論が展開されるが、原点は人がどのように行動し、それは損得の視点が必ず入り、という意味で基本は至ってシンプルである。

だからこそ、本書が示す目線に立って、物事を考えてみるというのが大事なのだと思った。

ヤバい経済学 [増補改訂版]

ヤバい経済学 [増補改訂版]


【編集後記】僕は、経済を数学を使って分析する「計量経済学」を大学院で学んだ。まだ、大学に入る前の話だが、「そういう学問があるらしい」と知り、答えがはっきりでにくい社会科学の世界に興味を持った。計量経済は、統計学によるところが多く、統計的な見地からいろんな技術論が展開されていく。しかし、時折技術にばかり頼ってしまって、肝心の社会科学的な仮説を立てるのが雑になったりする。
「そんなことをして何が楽しいの?」と言われると説得できないが、「答えがないものを考えて、分かった気になるのが楽しい・・・」と言ったところだろうか?





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