情報シェア、情報共有について考える 〜 効果を高めるには

情報シェアのコツってあるような気がする。性格が現れるのもこの情報シェアなのかもしれない。例えば簡単なところでは、「1から順を追って説明してくれる人」と「要点のみ述べる人」が私たちの身のまわりにはいるだろう。

今日は定例の会議があって、そこでは簡単な報告を各自することにしている。ふと気付いたのは「活き活きとしているが、どうも大げさに話す人」「遠慮がちだが素直に話す人」がいる。特徴もここまで際立つと、その人の性格がはっきり映っている。

話すタイミングもさまざまだ。「定例の会議まで待って話す人」「シェアするタイミングを自分から作る人」「シェアしたい〜、という前置きや雰囲気を醸し出して、質問を誘導する人」。これなども、その人の個性を表していると思う。

一方で、ビジネスの性格、例えば忙しさの状況によっては、「個性」は効果を下げることにもなる。自分の性格を活かすことは、その人のスタイルを貫くことでもあり、それ自体は否定すべきではない。しかし、仕事の状況を読んだり、シェアされる側の顔色を見て、シェアのやり方を臨機応変に変えられる人はすごいと思う。

例えば、何らかの緊急事態が起きて、それでも自分の持つ案件について情報共有を図りたい場合があるだろう。この場合、全てを話すのではなく、「シェアしたい」という希望を、言葉だけでなく印象として残す人がいる。「やったこと」を逐一報告するのではなく、「意図」や「意味」についてさらっと語るなどだ。「相手が知りたい」と思うような内容を、一部だけ公開するのである。例えば、「後は上司が決断してくれれば上手くいく」とか「攻め方が分かったので相談したい」などの一言メッセージである。「詳しいことは後で聞いてくれれば幾らでも話しますよ」というメッセージが、心に残るのだ。

大事なのは、伝えたいという気持ちと、躊躇しない勇気だ。情報は遅くなればなるほど陳腐化する。なので、後で話そうだなんて思わないで今話そう、と僕は心がけている。しかし、自分にとって優先度が高い案件でも、上司にとって、会社にとっては、もっと優先度の高い案件があるし、そちらの判断を今やらないといけないのかもしれない。このことが分かれば、一人前のビジネスパーソンだが、これは本当に難しい。だから、相手の状況を最大限に読んで、必要最低限のことを話す。まるで新聞の見出し程度の情報量と強弱感で。

このことは、ここで文章にすると簡単にきこえるが、かなり難しい。完璧にはできるものではない。しかし、それでも意識するのとしないのと、行動に移すのと移さないのは、大きな違いである。

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今日は僕が話す時間が最後1分しかなかった。詳しい話は全部あきらめた。しかし、「こういう事があって、今後動きがあると思う」とだけ言った。これを言うだけで、後で「もしかしたらあのことか」と思ってもらえる可能性がある。

この場合、「今後動きがあると思う、後で詳しく話すよ!」と言って、後で話すことを忘れてしまうリスクがある。しかし、この程度の情報でも、事前に伝えることは大事だ。もしかしたら、他の人が重複するような情報収集をしてしまうかもしれない。中には、この程度の情報でも、次の準備ができる勘の鋭い人もいる。

情報は多すぎると却って邪魔になったりすることもある。「シェアする」という言葉の中には、「知っておいてね、でも詳しく知りたかったら後で聞いてね」というニュアンスが含まれていて、相手に行動を委ねる、あるいは促す意味がある。単に、「知っておいて欲しい」という意味以上のことが、出し手にある場合もある。

昔からビジネス・パーソンに伝わる基本動作「報・連・相」(報告、連絡、相談)だが、情報シェアはこのうちの「連絡」にあたる。しかし、連絡だけでは済まないケースも多いのではないだろうか。人とコミュニケーションをするとき、それが特にビジネス上の上司に対するものであるとき、報・連・相のどれをこれから行うのか、そしてゴールは何かをはっきりさせる方がよろしい。

情報シェアとか情報共有は聴こえのいい言葉だが、本当は言いにくいことを「報告」する前の話だったり、「相談」したいのだが自分の意見がないときの話だったりはしないだろうか。安易に情報シェアを宣言する前に、考えておくべきことでもある。



【編集後記】情報シェアの上手な人は、「シェアだけさせてください」とか「ちょっとだけアップデートさせてください」などと枕詞もお上手ですね。上司が知りたがると「今話して良いですか」とか「じゃあ、後で時間を10分下さい」などと、費せる時間を確認することも怠らない。
一方、「1分だけ下さい」って言って結果10分間も話し込んでしまうのは、僕が時々やってしまう悪いやり方。
それはそうと、「この人の情報は価値がありそう」と思わせる普段からの積み上げが大事ですね。やはり情報シェアって難しい。でもチャレンジしがいはあるよね。




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