アイ・コンタクト

仕事の上でのアイ・コンタクト。相手の目を見て話すというのは、コミュニケーションの基本です。ここでは、もう少し広い使い意味で、アイ・コンタクトについて話してみましょう。例えば、社内の会議や取引先との会議を、場面として想定してください。

取引先との会議では、相手が複数の場合が多いので、各々の目をランダムに、もしくは意図をもって、見ながら話すと思います。しかし、これも相手の目をみて話すという意味で、まだまだ基本のお話です。

僕がここで言いたい「アイ・コンタクト」とは、取引先との会議において、同僚と目を合わせることを言います。何故こんな話をするかというと、同僚と目を合わせる会議を合わせない会議では、不思議なことに会議の雰囲気が違う、と思ったからです。

雰囲気が違うとはどういう意味でしょうか?そして、何故それは起こるのでしょうか?2つ考えられます。1つは、おそらく同僚と目を合わせた方が一体感が得られるので、話し手の感覚として「会議にまとまりが出た」という心理的なものです。2つ目は、同僚の目から発せられる情報が、会議の進行を効果的にする、という説です。例えば、同僚が次に話したがっているのか、それとも自分に話を続けてもらいたいのか、同僚が取引先の意見に賛同しているのか、反対なのか、などです。

「目から発せられる情報」と言っても、眉間のしわや顔付き以外ではなかなか伝わらないものです。ところが、注意深く見てくると、ひょっとしたらアイ・コンタクトのタイミングなのではないだろうか、と思うようになりました。僕は、会議中、横目で同僚を見ていることが多いですが、「同僚がこっちに向くなあ」と思ったところで目が合うと、そこから何かを察する場合が多いような気がします。

おそらく、話し手である自分が、「そろそろ次どう展開しようかな」と思って周囲を見渡したり、「このまま進めても良いよね」「今のところ補足することなく伝わっているよね」というサインを送りたいのだと思います。それに同僚が反応して、そのまま進めてよしとするか、それとも少し違う視点から補足を入れるか、あるいは客観的に話を聞いているからこそのアクション(例えば取引先への質問など)を起こすか、ということが繰り広げられるのです。

実は、僕の上司がアイ・コンタクトを多用する人で、取引先との際どい会議で、その効用をずいぶん教わったものです。

スポーツや楽器の演奏では自然と使うアイ・コンタクトですが、これは仕事でも当てはまる場面があるなあ、と思ったわけです。

アイ・コンタクトが取れないと、逆にとてもペースがつかみにくい。もしかすると、これって音楽で言うところのリズムみたいなものかもしれません。

例えば自分が話していて、ある程度の話が終わったとしましょう。そこで同僚と目を合わせることは、「自分たちの考えはこうなんだ」ということを相手に伝える役割を持つようです。おそらく取引先も、自分の目線の先は無意識に視覚情報として入るわけで、「個人の意見ではないな」ということが伝わるのでしょう。さらに、自分と同僚が、少し違う専門性や経験から話す言葉が違っていれば、会話のキャッチボールのような感覚で話し役を受け渡すことにより、効果のある意見を残すことができます。

リズムと言ったのは、それがある程度の間隔で現れるということです。アイ・コンタクトは、かなり有力な表現手段ですね。




【編集後記】この話を書きながら、目力のことが頭をちらついて仕方がない。目力というと、真っ先に浮かぶのが頼朝社長です。圧倒される目力ですよね。頼朝社長は2度も失明の危機を乗り越えたらしいです(マメ知識)。




こちらへも遊びに来て下さい。→金融の10番は日本人に任せろ!