自主的に取り組む組織 〜 年頭のチーム・プレゼンから思うこと

今日は、チームの人を対象に、今年のチームの目標について話した。2003年の12月より、チームをまとめる役割を担ってきたので、これで5回目となる。

僕の勤めている外資系の会社は、12月に数字をまとめる。つまり、ビジネスの目標や計画は、1月〜12月で組み立てられる。しかし、不思議なことが1つある。それは、グローバル・ヘッドから今年の目標が降りるのが1月下旬と遅いことである。日本の社会で育った僕は、期間の区切りを重視するし、年明けから何のメッセージもないと働く気になれないので、会社の目標が降りてくる前にチームの目標について話すようにしている。

この段階では、今年のチームの目標は会社の方向を予想した上でのものだ。普段から、経営陣とのコミュニケーションはとっているので、大きくずれないだろうが、1月下旬になって修正を強いられるリスクも当然ある。しかし、それでも早くメッセージを出そうと思う。

毎年、チームメンバーからの反応について最も気を払う。何故か?まずは、僕がいる業界の特徴について触れておこう。

資産運用ビジネスは、経済や市場環境は大きく変わっていっても、サービスの基本やお客さんのニーズは、それほど大きくは変わらない。なので、毎年違うことをやるといった花火を打ち上げるよりも、ビジネスの基本を重視した話から入る。基本があって、そこへ独創性を加え、チームワークで取り組むという仕事の性格を改めて認識してもらう。

チームの中には、新しい人も、ずっと一緒にやってきている人もいる。毎年同じような話で飽きてはいないか?サービスの基本は変わらないというメッセージは届いているか?そして、そうした普遍的なものを維持することと、大きく挑戦することの2つを、どう伝えたら心に残るだろうか?そんなことばかり考えて準備をしてきた。

今年は、プレゼンという場の冒頭にて、小グループでのディスカッションを加えてみた。みんなが「自分の目標にしたいこと」について語ってもらった。小グループとは、2人組である。みんなが必ず自分の言葉で話さないといけない。そこに最大の狙いがあるのだ。気持ちが「今年のビジネス」に向いたあたりで、いわゆるプレゼンを始める。

プレゼンをしていて思うのは、どれくらい伝わっているかが見えないということだ。参加型の時間を設けているものの、もっと工夫が必要なようだ。理想的なプレゼンは、いい質問がたくさん出て、そして議論が自然と続く場合だ。普段の業務中の目線ではなく、高い意識が必要な議論がそもそも多い。普段から準備の出来ている人でないと、なかなか良い質問は生まれない。

Numberだっただろうか。ラグビーの特集で、選手の自主性というテーマで書いてある部分があった。この自主性をどの大きさの課題、タイムスパン、選手の中でのリーダーの存在とその程度、で行うかは、ケース・バイ・ケースだろうが、そういう要素をもっと積極的に取り入れたい。自主性によって生まれる様々なアイデアが、指揮官の方向とずれないよう、普段からの情報開示と、方向感を示しておくことは極めて大事だ。

ラグビーの記事では、自分たちの弱みと強みを徹底的に解析して、強化策を練って、試合戦術を立て、そして執行、場合によっては試合中に戦術を変える、という例があった。この弱みを分析して強化策を練る、という地道な作業をもっと推進しないといけない。弱みから目をそらし、やりたいことばかりを並べるような自主性というのは本当の自主性ではないだろう。




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