思考の回転を意識的に速めて得られること


僕が勤める外資系の会社は、米国が本社になります。グローバルのCEOがサンフランシスコにいて、収益ならびに人員ともに米国拠点が世界の中で最も大きい。そのためか、米国西海岸の文化的な影響が強く出ているようだ。

米国に出張で来て、働いてみて、いつも思うことがある。それは、議論の中立性が保たれ、違った視点からも見てみること、その視点を見ていくスピードが速いこと、意思決定が速いこと、などだろう。

決定的な特徴を加えると、一度やると決めたら行動が速いこと、である。誰が何をやるかを見逃さず決め、何かを確認する必要にでくわしたら、その場で、知ってそうな人にあたること、などはスピードを出す仕組みになっているようだ。

後回しにしよう、ということが本当に少ない。びっくりするのは、そうしたスピードについてこれる人が多いことだ。ポン、ポン、ポンと事が進んでいく。

日本の場合、外資系の会社であっても必ずしもそうではない。じっくり考えたり、決定に手間取ったり・・・。そうしているうちに商機を逸したり、後回しのものが積みあがってしまって事がすすまなくなることがある。全ての人がそうではないが、一部の人の考える時間が長かったり、考えた挙句の提案がはっきりしない、ことがある。考えることが目的になってしまい、決めることや行動することが、放置されたままになるのだ。

ちなみに、速いことばかりが良いとは言い切れない。速く動きすぎて間違えたり、物事が雑になったり、後で修正を強いられるということは、一般的に起こるだろう。必要な人に情報が行き届かないというミスも起こる。しかし、総じて見れば、速く動いた方が、仕事は前に進むし、何よりも働く人の「考える力」をレベルアップすると思う。

1人で、そうした環境を作るのは難しいかもしれないが、それでもやれることはある。議論をした後は、「じゃあどうするか?」「誰が何をやるか?」「何が今日決まったか?」「次はどうするか?」について、テンポ良く聞いて回るファシリテーターのような役回りをすることで仕事は前に進む。

そうした役回りに慣れていないからと言って、遠慮してはいけない。もし誰も適任がいない場合には、誰でも良いからリスクをとって進めていく、ということは、組織にとってとても重要である。

こうしたスピード感をもたらす役回りを経験することは、仕事の力をつけるのにも役立つ。だって、高速で走る車は、それなりの装備が必要だし、そうした車を運転するには、意思決定が速くなければならない。そのために、サポートする情報も早く入手するように工夫するだろう。

それが進むと、自分をとりまく情報源、自分自身のスキルを高くしないといけないし、またそういう状況に追いやられる。あまりにスピードを上げすぎると、嫌がられるケースもあるのだが、それくらい思考の回転を速くして、大勢いるがゆえに滞りがちな議論を前に進める意識は、とても重要だと思う。




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