書評〜ウェブ進化論
丁度2年前に書かれた本で、今読むと、ネット社会の動きが本当に速いことが分かる。おそらく2年前に読んだら「?」という部分も今では当たり前になっている。グーグルが果たしている役割について記述があったが、「なるほど」と思わざるを得なかった。
グーグルは徹底したテクノロジー主義の会社で、「世界中の情報を整理しつくす」というミッションのもと、徹底してウェブのオープン化に貢献している。こうして書いているブログも、僕は自己満足でやっていると思っているが、検索エンジンの登場と高度化により「買いてもどうせ誰の目にも触れないだろう」から「書けばきっと誰かにメッセージが届くはず」に変わっているはずと梅田さんは言う。
こうして情報を発信する人が増え、その中で有益な情報を引き出す技術が機能し、情報を必要とする人に届く。梅田さんは、ネットのこちら側(端末)にあった情報やソフトウェアが、あちら側に移ったと語る。リナックスなどの開発もその流れに乗ったものだ。IBMのパソコン事業売却も関係している。
パラダイムシフトという言葉があるが、まさにこのことを言っている。自分が働く金融業界でも、考えてみるとパラダイム・シフトが起こり得る。規制やコストなどの問題はあるにせよ、あえてシフト後の世界を想定してみて、逆に今、どんなミッションが自分たちにあるか、を考えてみた。ミッションというのは、いろいろなアプローチで作られると思うが、いずれにせよ創造的で制約を受けない世界を創るためのスローガンである。
検索エンジンが賢いということは、逆にそれを想定したビジネスも既にあるだろう。そして、「ウェブ進化論」ではテキストの情報はテクノロジーによって検索を可能にするが、画像やビデオはまだ難しいと言う。そうなると、このあたりに、ビジネスのヒントがあるとも思う。
「アイデアの起案自身というのはほとんど評価されない、(中略)働く形にして初めて評価される」というグーグル社員のコメントは実に刺激になった。極めて、実務的である。世の中には優秀な人、自らに課す基準が高い人、そんな中で頑張っている人が無数にいる。
- 作者: 梅田望夫
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2006/02/07
- メディア: 新書
- 購入: 61人 クリック: 996回
- この商品を含むブログ (2353件) を見る
こちらへも遊びに来て下さい。→金融の10番は日本人に任せろ!