判断力を常に備える 〜 成長持続への準備

ちょっと前の号にはなるが2008年1月28日号の日経ビジネスで、面白い企画があった。その企画では、自民党を企業とみなし、会社四季報(日経だから書名は「日経会社情報」か…)が報じるようなスタイルで企業分析を行っているのである。当然に、自民党の問題点についても記事になっていた。

株主構成やバランスシートは、普通の企業にはあり得ないものだったので笑えた…。

それはそうと、無党派層の取り組みに関して「市場調査が行われていない」とか、松下電器産業が組織した「販売店網と自民党地方組織との対比」とか、「英国の選挙対策との違い」とか、面白い視点がたくさんあった。最近の記事の中では、相当ヒット作ではないだろうか。

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話は変わり、本題に入る。日経ビジネスと言えば、「敗軍の将、兵を語る」という特集で、失敗について語るページがある。今日は、ふと次のようなことを考えた。

ふつうは、そうした記事になるということは、「何が問題だったか」既に分かっている訳である。自分が今やっていることは、失敗なのかどうかは分からないのだが、結果はいずれであったとしても、今やったことは「後から振り返って十分なのだろうか、それとも不十分ではないだろうか」という疑問だ。

例えば、何かの判断に基づき、投資をしたとしよう。それが、企業やチームのガバナンスについての投資であれば、後から見てもそれは必要だったと言え、そういう意味での是非は問いやすい。しかし、収益を得るための先行投資となると、その評価はかなり難しい。投資の可否だけでなく、タイミングと投資額(量)が適切かどうかによっても、効果は全然違ってくる。

しかも、「投資が出遅れる」ことにより、決定的なダメージを受ける。また、いくら先行投資をしても、容易に真似されてしまうと、その投資はすぐにコモディティ化してしまい、市場価値が急速に落ちてしまう。

こうして書いてくると、極めて教科書的なことが、自分がやっている現実の仕事や意思決定には、常に不安がつきまとうのである。しかし、「それを克服して判断できる」と思われる人がビジネスをリードする立場に立つ。ビジネスをリードする人は、常に緊張感を持ち、状況判断を行うすぐれた神経系を鍛えていて、必要と思ったタイミングで、躊躇なく判断する。そんな力を常に発揮できるよう、備えているのだ。

僕が会社の中で担っている役割は、まさにそれらを行うことなのだ。

いろいろな事が社内外で起こるし、外部環境は常に変わっていく。そうした中にあって、自分の判断力が常に出せるような準備をしようと強く思った。準備というのは、言葉の響きとしては、静的であるし受動的にも聞こえる。しかし、準備なしには積極的な手は打てない。増してや、準備不足から起こる焦りは判断を惑わせ、それほど意味のないものはないと思う。




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