木よりも森を見る

「木よりも森を見る」、言い尽くされた言葉であるけれど、今回の出張の前に改めて感じたことを、文字にしようと思った。

今週は、フィラデルフィアのウォートンでマネジメントの研修がある。今回の研修では、プレリーディングの宿題が少なかったので、飛行機の中ですべて読み、心の準備が出来たところだ。

次の週には、フィラデルフィアからサンフランシスコに向かい、海外拠点のオフィスに行く。ここのところ、短期的な仕事が多く、優先度も高かったので、出張ではどんな議論をすべきか、飛行機の中で考えていた。今回は、短期的な仕事は既に手を打っているので、それに対する議論は最低限にとどめる方が良いだろう。出張の焦点は、今後の舵取り、中長期な仕事に関するものであるべきだ。

考える中でふと思ったのは、準備を入念にするのではなく、むしろ一度情報の洪水にさらされ、その中から大局観を再度見つめて、そして今出来ていること、やっていることの意味、そして今準備をすべきことを考えよう、ということだった。

僕はどちらかと言うと、出張や研修などの何か「特別」な時間に挑むとき、準備に力を入れすぎる傾向がある。そのこと自体は良いことだと思うけれど、今の会社の中での役割を考えれば考えるほど、既に予想されることや議論されていることにだけ目を向けることより、まだ見えていないものやこれから議論されるべきことに神経を注ぐべきだ。

そうなると、事前の準備によって、フィルターを設けてしまうことの弊害というのもあるかもしれない。できるだけ、多くの人の考えや情報に触れ、その中で決定をしていく、というスタイルも、問題の本質や長さによっては必要なのだと思う。

情報に対する感度、目先で話されていることと将来への意味というものに、敏感にならなければならない。こうしたことを考えるのに、いつもと少し違う環境、議論する人たち、自分の精神状況、というのは手助けになる。細かくは考えずに、しかし、将来の問題意識のリストアップと、こんな質問をしてみよう、という準備だけはしておこうと思う。




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