マネージャーによる効果的な部下へのフォローアップ 〜 タスクリストを工夫してみた


マネジメントの仕事は、「部下に積極的に質問をすること」が極めて重要である。なぜなら、マネージャーがあれこれ言って、それを部下が聞くたけの組織になったら、みんなが自分で考えなくなる。次第に、上司と部下の溝やすれ違いが大きくなって、コミュニケーションが悪くなる。

マネージャーが思ったことを全て口に出すのではなく、部下が思っていることを口に出させるのである。とは言え、「思ったことを言ってごらん」という問いかけは聞かれた方も困るから、より具体的な質問をしていくのだ。

受け応えの内容が良ければ、マネージャーから無理にアドバイスを繰り出す必要はない。しかし、マネージャーが部下の話を聞いた事実は、認識(Acknowledgement)した意思表示になる。それが伝わるだけで、部下は安心して仕事を進めることができるのだ。

部下は、それにより勇気付けられ、モチベーションが上がるかもしれない。また、期日や優先度をマネージャーの言動や表情から知ることで、仕事にスピード感が出ることもあるだろう。

一方、質問への受け応えが悪い場合でも、マネージャーは、何故悪いのかを気付かせる(気付きを与える)ような質問を重ねていけば、何らかの行動を促す雰囲気を作ることができる。この場合、必然として、後日フォローするとか、何かを提出してもらうとか、報告してもらうという形でその場の会話が終わることが多い。


僕は、長らくプレイング・マネジャーだったため、自分が手を動かすことが多かった。そのためか、自分がアクションを起こす仕事のタスク管理は得意だったけれども、自分が動かないリアクションやアップデートを待つ場合のタスク管理は非常に苦手であるということが最近分かった。

いろいろ工夫をしてみたが、なかなかきめ細かく部下の仕事を見ることができなかった。頭の片隅には置いてあるのだが、「いつまでに」「何を」の部分は昔のノートをひっぱりださないと出てこないし、昔のノートは滅多に見ない。自分から「そういえば、あの件はその後どうなっているの」といった一般には嫌われるフォローが出来ず、対応が後手に回ることもしばしばだったと思う。

部下を信頼して任せている、と言えば聞こえは良いが、部下も自分もみんな忙しいから、チームとして今デリバリーすべきことが出来ているかというとそれは難しいし、たくさんある仕事の中から優先順位を上司・部下の間で一致し続けることはさらに難しい。

最近、会議の簡単なメモとフォローアップ項目を1つのスプレッドシートで管理してみた。ポイントは誰とどんな会話をして、その結果、誰との間で何をすべきかをはっきり書いていくことだ。特に、いつまでにやるかを明確にする。今までは、案件ベースでタスクリストを作っていた。例えばあるプロジェクトを仕上げるにあたって、やるべきことを列挙してつぶしていく方法だ。この場合、タスクリストは複数にわたる。

今回もポイントは、仕事の主体が自分ではなく、部下であることだ。この場合、案件主体のタスクシートよりも、話相手(部下の名前)主体のタスクシートの方が、誰に何を頼むか、フォローアップの声をかけるか、質問をするか、の行動がはっきりできて管理しやすい。

やっていることは極めて平凡なのに、この方法にしてから、フォローアップのスピードが増し、かつ定期的にタスクシートを見直すことで、やり忘れが少なくなったと思う。試行錯誤とちょっとした工夫、あとは試してみる勇気が功を奏したようだ。

しかし、このやり方になって、当然のことだが忙しさが増した。以前よりも早いスピードで時間が駆け抜けるから、仕事とプライベートのメリハリをはっきりして、夜は休まないと翌日まで堪えるようだ。今日もそろそろ寝よう・・・。




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