継続する企業

「会社は誰のもの?」に関わる本や記事に立て続けに出会った一日でした。

まずは「日本でいちばん大切にしたい会社」。

日本でいちばん大切にしたい会社

日本でいちばん大切にしたい会社

著者は数あるステークホルダーの中で、きっぱりと「一番は従業員のためにある」と力説しています。従業員が幸せでないと良いサービスは作り出せない。では従業員を大切にするというのはどういうことかと言うと、決して従業員にとって福利厚生が充実しているとか給与が良いとかではなく、従業員が自分の会社を誇れるような価値感を提示し、軸をぶらさずに営業している、そんな会社であると言っているようです。

価値観には幾つかあって、それを実例で紹介している。共通項は利益至上主義ではなく、目標が他の目線にあること。従業員が長期にわたってその価値観を支持し、結果として従業員がまとまって力を発揮するがゆえに、利益が結果として生み出されていく、そんな会社であるということです。

世の中のためになりたい、というのは僕が社会人になるときに考えたテーマでした。この本で取り扱う実例や話題はそれを再び考えるのに良い刺激となりました。

もっとも、世の中にある仕事の大半は世のためになっている。それをどう実感し、どう発展させていくかが仕事の本質であるような気がします。何故なら、人は他人から認められて動機を高め、そして良い仕事をしようとする。そんな人間の本質に立ち帰った視点をもらいました。


次に天外伺朗さんの「マネジメント革命」。

マネジメント革命 「燃える集団」を実現する「長老型」のススメ

マネジメント革命 「燃える集団」を実現する「長老型」のススメ

まだ読み終わっていないので感想は書けませんが、基本的なトーンは共通したものを感じます。天外伺朗さんはソニーの常務だった人で、ソニーという会社を通じて感じた経営論が実に臨場感があって面白い。天外伺朗さんについてはこちらに案内がありました。

雑誌の記事などでは、これみよがしに米国風の株主利益主義がバッシングにあっています。僕は、株主から出資を続けてもらったり、新しい投資に賛同してもらうための、株主への利益配当は大事だと思うけれど、それが行き過ぎてしまって過剰投資になることや、競争が激化するあまり競争相手を競り落とすことが目的化し、本当の意味での消費者利益が二の次になることへのはがゆさを感じます。

自分が今やれていることと、正直に言ってやれてないことの両方も感じてしまいます。


こうしたことを次の世代、子供たちにどうやって伝えていったら良いのでしょうか?

この問いから連想したのは、やはり最近読んだ本、キャシー松井の「子供にマネーゲームを教えてはいけない」です。

子供にマネーゲームを教えてはいけない (講談社+α新書)

子供にマネーゲームを教えてはいけない (講談社+α新書)

キャシー松井に会ったことのある人にとっては、ゴールドマンでストラテジストをやっているキャシー松井の別の側面が見れて、そちらに面白さを感じる本です。この本については、別の機会があれば紹介したいのですが、僕が感心した点は、子供に金融教育をするのであれば、むしろ「会社って何?」「仕事って何?」を、金融やお金の話よりも先に、教えた方が良いという著者の主張です。会社に対する問いも、仕事に対する問いも、正解がない質問なので、ある程度の分別がついた子でないと教えるのは難しいかもしれません。しかし、学校を卒業すると、突然社会人になる訳ですから、こうしたことについて考える経験がないと、自分にあった会社にめぐり会うのは難しいと思うのです。




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