書評〜マネジメント革命


前回の日記で紹介した天外伺朗さんの「マネジメント革命」から気に入ったエッセンスを抜き出すと、
燃える集団と上司の人徳を考える
こんなフレーズになるだろうか。これ以外にも、ここでは全てを紹介できないほどの視点が散りばめられていた。自分にとっては、どれも今考えていることと重なる内容だったので、自分の今後の志向を占うのに良い本だった。

燃える集団というのは、チームが内発的動機によって動き、信じられないほどの力を発揮するというもの。天外さんはソニーでの経験で幾つかの実例を示されていた。僕の業界は金融だけれども、日本の市場でまだ誰もやっていない商品やスキームを送り出した経験のときは、自分の評価やボーナスがどう、という外形的な動機よりも困難だけれども新しいものを世に出したいという動機が一番だったし、もっと遡ると新入社員のときに参加したシステム開発などは、毎晩終電間際まで働いた割には疲れも知らず、とにかく働いたという経験がある。もっとも当時は若かったけれども・・・。

これは自分だけではなくチームとして機能していたというところにミソがある。自分の持ち場を任されて、時にはそれを超えた判断を行うことさえできた。上司に提案をするというのは当たり前で、それよりもいかに上司の立場(肩書きや社内政治)を利用させてもらい、自分の考えを通すかという意識で仕事をやっていたと思う。

上司もそれに不快感を表すどころか、一緒になって議論にのってくれる。上司には、軸であったり理念というものがあるようで、若い自分には分からないことも多かったけれど、その一端を感じることで、安心してついていけたし、逆に現場は任せてくれ、という感覚で自己主張をさせてもらった。

では、上司の側はどうしてそんな懐の深さをもてるかと言うと・・・、というところがまた面白い。この部分は、いわゆるハウツーものではないので、興味のある人は通読してみることをお勧めしたい。

マネジメント革命 「燃える集団」を実現する「長老型」のススメ

マネジメント革命 「燃える集団」を実現する「長老型」のススメ

基本的に収益を追い続け、かつ単年度での勝負に陥りやすい環境では、理念を語る場面が少ない。そうだとしても、マネジメントがプレイング・マネージャーだった時期は、自分の仕事ぶりを部下が見て、そこから何かを感じとった人がついてくる、という連鎖が働いていた。

ここまで書くと、今自分ができていないことが少し浮き彫りになってくる。ビジネスの進め方は上意下達でなかなか単年度勝負から抜け出すことはできないが、相手が日本の会社文化を少しでも知っている人であれば、時には飲んで話を伝えることも必要なのだろうか・・・。いや、僕が若かったころは上司の昔話を聞かされるのがだんだん嫌になっていったので、押し付けるのは良くないか・・・。




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