年金制度は誰のものか

年金制度は誰のものか

年金制度は誰のものか

年金の運用をやっておきながら、年金制度の問題がどこに所在し、どういう処方があり得るのか、については恥ずかしいことに考えることがなかった。現在の複雑な年金制度・・・、例えば企業では厚生年金があり、国民共通の基礎年金があり、公務員の共済があり・・・、といった複数の制度が並存した形や、それなのに基礎年金は共通で、それ以外の部分を2階とか3階と言う・・・、などの「構造物としての年金」は職務上理解していたが、「僕らの年金」という意味での制度論や執行面の問題についてはこの本が手助けしてくれる。

折りしも衆議院選挙である。年金はあまり話題になっていないけれど、年金の問題は非常に重要な割には難しい印象がある。いや印象ではなくって、実際に難しい。著者は、「国民に分からないような改正案を作り、気付かれないうちに給付水準の抑制や財源確保」と言う。

年金制度は分かりやすい必要がある。年金問題は、財源の担い手と給付の受け手である少子高齢化の問題、そして移民政策の問題でもあるはずだ。そうした関連性をしっかり付けて、国民に「分からない」不安をいつの間にか与えてしまって少子化を招くのではなく、しっかりと制度を作って、今の問題とそれに対する対策を講じ、オープンに伝えて欲しい。今もらえる手当金よりも将来の期待の現在価値の方が大きいはずである。




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