ウェルス・ビジネス

ウェルス・ビジネスとは日本語で言うと富裕層ビジネスのこと。昨日は、金融業界でそのビジネスを最近伸ばしている某スイス系の証券会社にお勤めの知人に会って話を聞いた。

対象とするお客さんは、金融資産が2億円以上だという。支店網も人員も十分ではないから、富裕層の中でもさらに対象を絞り込んでいるとのこと。予想外だったのは、そうしたお客さんが求める商品は意外にも保守的ということである。お客さんがそもそも保守的なケースは一定数あるとしても、その他では、既に自分で株式投資をしていたり、自らのビジネスへのコミットメントが自社株の保有という形で成されているからだそうだ。実際、知人の会社が提案する金融商品も、かなり保守的なものが多いとのこと。

大手の金融機関だと、長年にわたり投信を手がけているが、昨今はより高いリスクを取るか、世間が関心を集める商品へ軸足が移っているのではないだろうか。幅広い品揃えへの一環として、ハイリスク・ハイリターンの性格を持つファンドや、プロの投資家を相手にするヘッジファンドへ投資する運用商品が開発されることは多い。また、単純な資本の論理によると、ハイリスク・ハイリターンの商品だと金融機関にとっても実入りが良いので、そうした商品が売れたら良いな〜と思って行動する面もある。

成長著しい国へ投資するファンドを開発して販売するのは良いとしても、多くの金融機関が競争しあうことによって、宣伝が頻繁になったり、メディアが取り上げたりするので、そうした商品があっという間に市場を荒らしてしまう。信じられないことかもしれないが、売れすぎると業界全体で同じテーマのファンド規模が大きくなり、投資対象がなくなってしまうのである。

この日聞いた話は、そうした風潮とは一線を画したものであったと言える。

富裕層のお客さんは、時間はないが株式などの投資商品には触れている人が多いと言う。富裕層と括っても、自分で事業をやっている人もいれば、医者などの特定の職業に就いている人もいるだろう。事業をやっている人は、ビジネスの性格から、経済に高い理解と観察を持っていることだろう。

一方で中間層と呼ばれる人はどうだろうか。頑張って投資をしたは良いが、金融機関の説明にのってしまって、自分の理解を超えるハイリスク・ハイリターン商品に手を出してしまったり、周囲がもうかっているからと言って、明らかに後追いで買ってしまうことがあるのではないだろうか。

投資は、自分の理解できるものの範囲で、サラリーマンであっても自らの事業へかける時間と投資にかける時間とのバランスを取って、というのが基本と思えてならない。




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