ギャンブルにはビジネスの知恵が詰まっている

最初に断っておくと、僕は資産運用では長期投資をお奨めし、自らの行動パターンもギャンブルで自分の時間を消費するよりは、投資に向けたいと思っている。

だからこそ、違う趣旨の本を選らんで読んでみるというのが僕の読書法。

ギャンブルの是非についてはここで言うつもりはない。1人の大人として節度をもって、自らが負担できる損失額の範囲内で、家族に迷惑をかけない程度に、楽しむのは全く個人の自由であり、そこに夢でもロマンでもスキルでも、存在すると思えるものを追ったら良い。そういう性格ゆえに、一人一人が違う体験を持ち、価値観を持ち、考えや楽しみ方があるのがギャンブルだと思う。

そう前置きをしておいて、この本についての感想を書くと「とにかく面白い!」。著者は、ギャンブル好きであるだけでなく、そこで得た教訓をビジネス・アドバイザーとして使っている。カジノでの経験談など、信じられないような出来事が紹介されているのだが、その出来事を信じるかどうかは別としても、現場(相手)を実に良く見る、他人と違うことを恐れない(自分で考えて判断する)、辞める戦略を持つ、などのメッセージは、ビジネスで重要な教訓として感じられるだろう。

あとがきの言葉が実に印象的。ギャンブルとは人生での賭ける技術を学ぶ場であると書いた上で、『生きることは、自分の判断で、確実でもなんでもない自分の未来に賭けていくことである』とある。

どうやら、ギャンブルというイメージが固定していたようだ。確かに、場合によっては損もするし、ギャンブルにはまって借金漬けというニュースも少なからず聞く。そういう面はあるけれど、学びの場にもなり得る訳だ。ギャンブルはゼロサムなので、儲かった人がいる一方で損している人もいるという意味で「時間を消費するもの」と書いたけれど、もしそこから何かを得るのであれば、自分に対する投資にもなる訳だ。

僕は若いうちに、「これは時間の無駄だ〜」と思って以来ギャンブルにはほとんど手をだしていないけれど、その分自分の仕事ではずいぶん賭けに出ているような気がする。今回の退職・転職もそうだ。過去に大失敗はなかったけれど、一方でかなりの時間と労力を消費した。事後的に良かったことが多かったので「あれは投資だった」と言えるけれど、事後的に悪かったら「何故ああしたのだろう」と後悔することもあったはずだ。今回も、自分を信じて、自分の好きな「他人と違うことを恐れない」選択が出きたらよいなあと思った。

ギャンブルにはビジネスの知恵が詰まっている (講談社+α新書)

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