ネット株の心理学

最近よく目にするのが、インデックス投資を勧めている本。インデックス投信やETFは販売会社にとっては儲からないから、積極的なプロモーション(販促)は行われないので、本やブログで啓蒙している方がたくさんいる。

僕も、先日の記事で書いているように個人、特に本業の仕事(会社勤めであっても…)が忙しい人にはインデックス投資を勧めています。

一方で、小幡績さんがデイトレを推し、むしろインデックス投資は勧めないというのを知って、興味を持ってこの本を手に取りました。

単にデイトレが儲かるという話ではない。小幡さんが行動ファイナンスを教えているとあって、論理的に主張されている。

僕は本業で株式運用をしていたため、株価は本来的な価値で決まるとは言えないこと、むしろ他の投資家がどういう判断をするかで決まることが多いこと、は良く解っているつもりだ。例えは良くないけれど、株式投資は”美人投票”で誰が選ばれ、誰が選ばれないかを予想することに似ている。誰が美人であるかは関係なく。

デイトレデイトレーディング)は、買いまたは売りのポジションを日を超えて持たないこと、多くの場合は数分から数十分で手仕舞う(反対売買する)ことから、予想し得ないニュースに影響を受ける可能性は少なく、またマクロ経済的なニュースや業績発表でさえ、影響を受ける必要は少ないと言う。長期投資は常にポジションがオープン(買ったまま保有の意味)になっているから、刻々と変わる株価には一喜一憂はしないと言っても、しばらくの間株価が低迷するときなどは、気が気でないでしょうということだ。デイトレなら、日を超えてポジションを持たない(損切りを1日1回必ず行うという強い意志を持つ)ことで、そうしたストレスから解放されると…。

確かにその通りである。そして、忙しい人でもデイトレは可能だと言う。

僕は、小幡さんの主張には反対ではないし、デイトレが出来る人はそれで投資をしたら良いと思う。しかし、多くの忙しい人はなかなかデイトレをやるところまで辿り着かないのではないかと思う。一回の取引が数分で終わると言っても、その機会を見つけなければならないし、その後は実際に売買をしないといけない。勤め人の場合は仕事中である。そして、生き物である相場に対峙するにあたり、需給(出来高)を見ることや、過去の株価から推測される投資家の動きと心理を読むこと、決算発表やインデックス入れ替えなどのイベントに参加すべきか避けるべきかを判断する、などの練習は必要だ。

デイトレで儲けないことは機会損失、と言ってしまえば、その通りだろう。人生の中で、何に興味をもって、それにどう時間を配分するかは自由である。デイトレも、それから同じ連想ではないことを断って例を挙げるとギャンブルも、高度な知的ゲームであるとも言えるので、そこから得られるものは経験した者でないと分からない。

インデックス投資で行こうと決めた人でも、この本を読むことはお勧めしたい。この本により、長期投資家が背負わないといけないリスクや、寄って立っている考え方が分かると思う。インデックス投資について心地良い話ばかりを聞くよりは、逆の意見を聞いておく方が良い。その上で、自分はインデックス投資で行くんだという決意を試す良い機会になるとも思う。同時に行動ファイナンスについても実例(2006年の本なので少し古いが…)付きで分かりやすく学べてしまう。

ネット株の心理学 (MYCOM新書)

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