日本経済の真実

著者の一人、辛坊さんは日テレのキャスターなので、ご存知の人も多いだろう。僕はテレビをあまり見ないので、辛坊さんがどういう意見を普段言っているのかは知らない。

この本は、今の日本経済の問題を実に分かりやすく解説している。経済の話や用語に詳しくない人でも、この本が主張している内容は伝わるのではないだろうか。ところどころ、「○○はアホだ」などと言っている部分は、痛快かつ大胆な雰囲気を演出する一方で、せっかくの分かりやすい本が稚拙に映ってしまいもったいないと思う。社会では面と向かって「アホ」とか言わないはずなのに、本だと言うのは僕には理解ができない。それとも、マスコミでは平気で「アホアホ」言っているのだろうか。

今まさに、ギリシャ財政の問題から株安、そしてリスク資産からの逃避が起きています。「先進国で一番借金の多い日本はどうなの?」「日本の国債は95%が国内投資家によって保有されているから大丈夫なの?」という疑問や説に対して、分かりやすい解説を施してくれます。

僕も辛坊さんの考えに同じなので、書評としてはバイアスがかかりますが、日本はこのままでは本当にマズイ。経済というのは一定の成長がないと成り立たない”しくみ”だから、成長戦略は明快かつ理屈にあったものではないといけないと思うのです。それを、国の財政という財布をやりくりしながらやっていく。みなさんの仕事、暮らし、家計と同じですよね。では、日々のニュースの中から、及び与党のマニフェストから、それが見えるだろうか?

この本では書いていませんが、法人税減税や消費税増税、無駄の削減や民営化推進、という成長戦略に寄与するであろう基本的な処方を行うとして、人口が減っていく日本のGDPを生産の量と質という2つの側面でどう成長させていくかを考えていく仕組みが必要なのだろう。政府が大きなビジョンを示して、省庁がそのビジョンを達成するための方策を決める、達成したらボーナスを与えるし達成しなかったらボーナスを削る、くらいの勢いは持てないものか。

今だけを考えるのではなく、10年後に中国や新興国がキャッチアップしたときに、どういう世界観でいるかは極めて重要だ。そのときは、今頼りにしている新興国という国外マーケットが変質しているはずだ。輸出で食べている日本にとっては、重大なポイントになる。また、中国などは急速な高齢化に直面すると言われているから、今のビジネスモデルが将来有効である保証は全くない。

今の米国や欧州各国でさえ経験していない問題でもある。いつの世の中も常に新興国が存在するというのは幻想だろう。そこに加えて、中国やインドが今の先進国の立場に上がってくるとなると、変化の可能性は格段に増え、スピードは加速度的に上がるはずだ。

日本経済の真実―ある日、この国は破産します

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