日本経済新聞は信用できるか

増補・日本経済新聞は信用できるか (ちくま文庫)

増補・日本経済新聞は信用できるか (ちくま文庫)

文庫本で買いやすくなりました。しかしこの著者(東谷暁さん)の名前でネット検索すると、別の著書に「エコノミストを格付けする」があるので、かなり反感買っています。著者はジャーナリストで、この本では少なくとも日本で最大の経済紙である日経の非中立性や非一貫性を批判しています。

日経を批判している本は、他に見たことがないので、一読の価値はあるかな。しかし、具体例を多く出しているのは良いと言えるけれど、おそらく2〜3章も読めば、言いたいことは分かると思うので、忙しい人は細部に時間をかけて読むこともないだろう。

一貫性のある主張というのはメディアとして大事なスタンスであることに異論はないが、では海外のメディアがどうなのか、という点については本書からは良く掴めなかった。加えて、中立性について言えば、日経などの日本のメディアは、日本人だけで書かれていることに問題はないだろうか?僕は内部を知らないので無責任に想像するのだが、海外のメディアであれば、多国籍の編集者によって意見も多様化しているのではないだろうか?少なくとも、外資系企業の人材戦略を見ていれば、そうした多様化への対応はしていると想像してしまう。

さらに私見を続ければ、日経は無記名も含めて論説や編集者によるコラムが多く、事実を伝える報道が少ない。読者に考えさせるような誌面作りをしてもらいたいのだが、それだと売れなくなるのだろうか?最低でもコラム記事を一箇所にまとめて欲しいのだが、そうすると、広告の値段がページごとに変わってしまうという不都合もあるのだろうか?

日経新聞に、それらの癖があるのは、本書でも読者アンケートの結果を紹介する中で指摘しているように、ある程度は一般に知られているようである。理想を言えば、日経の他に経済紙(誌)を購読することだろうが、東洋経済エコノミストなどの週刊誌では速報性に欠けるし、雑誌という媒体である以上、事実の報道よりも論説を集めたものになってしまう。そうなると英語のメディアを入れざるを得ず、読む上では母国語よりスピードが落ちるから、日本人にはちょっと不利だなあ。こういう面からも、英語教育が重要ということに過ぎないけれども。




こちらへも遊びに来て下さい。→金融の10番は日本人に任せろ!