英語力

最近、複数のサイトで見かけた話。社内公用語を英語に設定した楽天の社長、三木谷さんの英語はどうなんだろうか、という意見。

どうやらYouTubeで、その様子が流れていたらしいのだが、既に削除されていた。なので、果たしてどのレベルで話題になっているかは、この時点ではコメントできない。

しかし、楽天社員でもない私たちは、そんな話は他社の話として置いておいて、英語力について考えてみたい。

まずは公用語について。楽天の社員食堂のメニューがすべて英語になったとか、本当かどうか分からないけれど面白い話題にされている。僕の外資系で働いた経験から。会議やメールの宛先に一人でも日本語ができない人がいると、会議は英語、メールは英語になる。それは、時折、日本語で話す場面も出てくるけれど、大抵は日本語の話せない外国の人が「いいよ、分かりにくければ”そこは”日本語で話して。」という事前のコミュニケーションがある。もちろん、ある程度、議論や説明が収束すると、また英語の会議に戻っていく。ちなみに、日本人しかいない会議は日本語だ。効率が違う。ただし、資料や議事録は英語。後で誰が見ても分かるように。

言葉はコミュニケーションのためにあり、日本でビジネスを行う現実として、英語だけでは議論にならないことも時として起こる。英語力の問題もあるだろう。そして商慣習のうち説明しにくいという事情もある。コミュニケーションさえしっかり取れれば、言葉を英語だけに限るのはおかしいと思う。ただし、こういう話が出るのは、おそらく日本だけだと思った方が良いのかもしれない。それ自体、おかしいと言われれば、反論することはできない。

そういう意味で、楽天が「公用語に英語」と決めたのは、本当にそうしたかったのではなく、社員のレベルアップを強制的に行いたかったのではないか。外資系だと、レベルの差は別にして、ほとんどの人が英語のコミュニケーションに抵抗はせず、継続的に勉強している人も多いから、そういう環境に追い込みたかったのではないか。

いずれにしても、「英語はできない」と開きなおるのは問題だ。多国籍にビジネスを行う場合、英語は当然に出来た方が良い。中国の人や、アラブの人、フランス人もドイツ人も、ビジネスを一緒にやろうという場面では、みんな英語を普通に話す。アクセントや発音は別として。使用する表現や言い回しは、日本人にとってシンプルで分かりやすいものが多い。英国やアメリカの、ウィットに富んだ話し方で人を魅了することは少ないかもしれないが、その方がネイティブではない人にとっては良いのである。

一般論では、日本人の英語は発音がカタカナで抑揚もフラットなので、分かりにくいといわれる。いわゆる日本人英語。僕も英語は学校でしか習ったことがないので、典型的な日本人英語なのだが、それでもビジネスの場面では困ったことはあまりない。分からなければすぐに聞くし、通じていなかったらすぐに別の言葉に置き換えて説明をするからだ。これは、他国の英語ネイティブではない人とも共通するが、いかに自分の意見を言うか、伝えようとする努力を行うか、あきらめずに話し続けるか、がコミュニケーションを取るための最低限にして最大のスキルではないか。

三木谷さんの英語のレベル感は分からないけれど、想像ではコミュニケーション能力はあるのだろうと思う。そうでなければ、グローバルに打って出ている今の楽天はなかっただろう。

だからと言って、英語は上手いことにこしたことはない。なぜなら、シニアのポジションになっていくと、発言する内容や振る舞いというのも、リーダーシップ像に強く結びつくからだ。

一定のコミュニケーションが取れるようになってからの、一層の英語の勉強は難しい。しかも、こういう勉強は若いうちから積み重ねるしかない。代表GKの川嶋選手がベルギーに移籍するときに流暢な英語でスピーチをしていて周囲を驚かせていたが、そういう努力を普段からしておきたい。

僕の英語についての経験談は、コチラのサイトで取り上げていますので、よかったらご覧ください。




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