スキルアップにおける2つのメンタル・アプローチ

書店にはいろいろな自己啓発本があふれています。

時間術、勉強法、○才からの過ごし方、などから、○○万円稼ぐ術など。流行りのタイトルだと、「○○してはいけない!」「○○力(=ちから)」だろうか。

以前のブログで、ビジネス書は既に飽和状態にあることに触れました。だからと言って、こうした本がなくなる訳ではなく、良著は読み継がれていくし、そうした本に出会ったときの喜びは大きいものがあります。

自己啓発本は、タイトルがだんだん刺激的になっていくので、背表紙が並んでいるのを見るだけでお腹いっぱいになることがありますが、タイトルに惑わされる前に1つだけ、意識する点があると思います。

それは、その本が私たちの背中を押すものなのか、それとも走っている私たちを立ち止まらせるものなのか、です。

多くの本は、私たちの背中を押すものだと思います。「こうしたら良い」と論理的に展開したり、著者の経験から促したり、読者のやる気を搾り出したり、ひたすら励ましたり、などです。もし、私たちが、行き詰っていたり、やる気を出す思考法や行動にたどり着けていなかったり、自分の考えを整理する術を知らなかったり、そんな場合はこうした背中を押す本は有効だと思います。気持ちが前に向かっているけれど体がついてこない場合や、気持ちが前に向くと楽になる場合がこれにあてはまります。

一方で、すべての人、すべての場合に、「背中を押す」考えを勧めるのはどうかと思います。頑張り屋の人が疲れを感じていたり、行き詰っている人が試行錯誤したけれど上手くいかなかったり、試練や失敗などの現実に対して向き合う術が分からず途方に暮れたり、自分に自信が持てなかったり、そんな場合は「ちょっと待てよ」と立ち止まって考えさせる方が有効だと思います。

「背中を押してくれる本」はたくさん例があるので、説明は要らないですよね。「ちょっと待てよ」本は、頑張り過ぎた人への処方箋みたいなものです。つまり、「背中を押されて」行動した人が、時に必要となって、手に取るものだと思います。例えば、「起きたことを受け容れて前に進む力に変えよう」「すべてに感謝して一日を大切にしよう」「自分を褒めてあげよう」「自分の得意分野を再確認しよう」などの考え方はこれにあたります。

個人差はあるでしょうが、多くの人はこの2つのカテゴリーの考えを行ったり来たりしながら、より大きな仕事、より大きな自分に出会っていくのが、自己啓発なのではないでしょうか。

ストレスの耐性が高いという人でも、どこかで自分の予想しなかったことにでくわす可能性があります。そんなときには、「躊躇せず立ち止まる」思考法は大切だと思います。いまの自分が、どちらのタイプの助言を求めているか、に応じて本と出会うことは、とっても大事だと思います。

実は、この考え方は、本に限った話ではありません。人と会うときにも同じことが言えます。私たちの同僚、上司、先輩は、相談相手としてどちらのタイプでしょうか。人には得意な思考法があるはずで、または成功体験を話すことが好きという傾向もあるでしょう。多くの場面では、励ましてくれて、何かヒントになることを言ってくれることが有難いですが、時には、現状を共感してくれるだけの、極めてソフトな接し方が効果的だったりする場合もあります。内にこもった気持ちを引き出してくれたり、話を聞いてくれるだけの存在でも、新たな一歩の活力になることってありますよね。

失礼な表現かもしれませんが、本も人も、違うアプローチをしてくれる引き出しを確保しておきたいものです。




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