書評〜退散せよ似非(エセ)コンサルタント、タイトルほど過激ではなく実直な経営指南書


船井総研を創業した船井幸雄さんの本。船井さんの本は始めて手に取りました。

本書は、船井さんの歴史と知見が詰まった本と言えるようだ。船井さんの経営コンサルタントとしての、そして経営者としての、信念が体験談とともに書かれている。彼の信念はシンプルで、経験と仕事に取り組む姿勢の2つだという。

ただし、船井さんが言う「経験」とは、簡単に得られるような生易しいものではないようだ。本書では船井さんの人柄として、仕事が大好きで寝る間も惜しんでうちこんできた様子が伝わってくる。このことは、「人間は一生学び続け、働き続け、成長していく存在」という価値観に裏打ちされている。

船井さんが社会人になった戦後10年の混沌とした時代と、今の時代には違いがあることを認識しつつも、プロになるには「がむしゃらに働け」と強く主張する。このことは、若い経営コンサルタントに対しても、企業経営者に対しても、向けられているメッセージである。

経営コンサルタントは医者と同じような存在で、人(企業)の命を預かっている。だから、命を捧げる覚悟で働きなさいという。経営者も同じだろう。自分の夢を追って起業するまでは自由だが、従業員を雇った段階で、経営者として覚悟を決めないといけない。

では、なぜ「がむしゃら」なのか?経営は理論ではなく、実務能力であり直感であるのだと。会社は経営者の器以上には大きくならない。しかも、「すべての組織は99.9%がトップで決まる」という考えでいる。

船井さん自身は、とてもストイックな人のようだ。自らに対して甘えを許さない姿勢から、僕も背筋を伸ばされるような、そんなまっすぐなエネルギーを感じる本であった。

しかし、「がむしゃら」とは言っても、それは無闇やたらにやるということではない。本書では、部下の活かし方や、事業が本来持つべき価値、絶対優位(本物志向)な戦略、お客さんに関する徹底した知識を得る、などの具体的なポイントが挙げられている。

そして、これらの努力に加えて、素直、勉強好き、プラス発想の資質が加わることが重要で、それは何故かという話が書かれている。

やはり幾つになっても勉強は大事であるようだ。しかし、それは単に理論を真似るということではなくって、現場や実務で直面した問題を解くための知恵だったり、お客さんをもっと良く知るための知識だろう。

企業に勤める人にとっても、これから社会に出る人にとっても、お奨めする本である。

退散せよ! 似非(エセ)コンサルタント

退散せよ! 似非(エセ)コンサルタント


【編集後記】涼しくなってきたのに、体の調子があがりません。これって秋バテと言われていることかな?とりあえず、3連休はお墓参りを除いておとなしく過ごそうと思っています。今週は、さらに木曜日も休みですね。休みが集中するので、少し分散して欲しい気分ですが…。




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