2010年を振りかえる 〜 投資信託選び

慌ただしくスタートした1月も、ようやく平常モードになってきました。巷では、「2010年を振り返る」ようなニュース記事が、一巡した感じがします。

今日は、その中から、気になったことを1つ取り上げてみます。テーマは「投資信託選び」です。


本題に入る前に質問です。人は、なぜ投資をするのでしょうか?あるいは、投資の必要があるのでしょうか?

これは、結構深い質問だと思っています。もしかすると、「隣の人がやっているから」とか「ちょっと小銭を作りたい」とか「とにかく儲けたい」とか「預金金利が低すぎるから」という考えからかもしれません。

興味を抱くことは大事なので、いま挙げてみた例について、全否定するつもりはありません。ただし、この「なぜ」に対する自分なりの考えを、投資をする前にはっきりさせておいた方が良いと思います。

なぜならば、その目的に合わせて、「いくら」を「どのくらいの期間」、「何に対して」投資するか、がはっきりしてくるのです。そして、「目的を達成する可能性はどれくらいか?」「どれくらいの損なら我慢できるのか?」を考えていきます。

例えば、今働き盛りの人なら、自分の年金がいくらもらえるか分からないし、勤めている日本の企業から稼げる給料も頭打ちになってきて将来が不安だ、という考えから、成長著しい新興国(中国、インドなど)の株式に投資してみたい、という人もいるでしょう。

この場合、給与の一部を積立てしながら、長期(20年など)で投資するという行動になると思います。金融機関が提供してくる情報は貴重かもしれませんが、自分のライフプランを冷静に考えてから、行動する方が良いと思います。

この対極にあるのが「儲けるため」の投資です。儲けたお金でパソコンを買うという目的がはっきりしていればまだ良い方ですが、目的がはっきりしていないと、少し負けただけで萎縮し、志半ばで止めてしまうことが起きかねません。隣の人の成功例、ましてや雑誌がとりあげる成功者の例が、自分にもあてはまると考えるのはかなり危険です。

投資を趣味として考えられる人は別ですが、投資をするためには、理解できる範囲の知識があった方がよいと言えます。そしてその理解できる範囲で、投資をするのです。もし、その知識を得る時間を惜しむならば、大事な虎の子(現金)を注ぐのはやめた方が良いと思います。

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前置きが長くなりました。今回は、投資信託のランキングに注目してみます。

投資信託は、複数の投資家からお金を集め、ファンド・マネージャーと言われる人たちが、そのお金をまとめて運用するという商品です。投資家は、1口1000円など(商品によって条件は異なります)の小額から投資できるのがメリットです。

株式や債券には単価があり、一般に数万円ないと買えないし、1つの企業に全額を投資するのは危険だと言われます。投資信託なら、みんなから集めたお金を複数の企業に分散して投資するため、危険度が緩和されていきます。

では最初に、2010年にもっとも売れた(資金の流入が多かった)投資信託ファンド(ETFを除く)を見ていきます。

外国の債券に投資するファンドが多いですね。なんとトップ10のうち半分が、ブラジルレアル債に投資しています。他にも、ハイイールドと呼ばれる、信用度の低い債券(リスクが高い分、利率が高い)に投資するファンドが人気です。

これはここ数年のトレンドで、日本の預金金利が低いのに対して、外国の金利が高いので、その金利を得ながら毎月分配するというファンドです。ただし、外債ファンドは、一般に為替リスクがつきまといます。まれに為替リスクをヘッジするファンドもありますが、ヘッジにはコストがかかり、一般には金利分のコストがかかるので、通常は為替リスクをヘッジしないファンドが設計・販売されます。

2010年は、円高ドル安が進んだので、米国債の組み入れが高いファンドの成績はいまいちでした。一方で、円とブラジルの通過レアルの価値はほぼ同じだったので、ブラジルの高金利がファンドっうぇwwの成績に寄与した年でした。


一方で、投信ブロガーが選んだ投資信託ランキング(Fund of the Year 2010)というのがあります。

こちらは、日頃から投資信託を研究したり、実際に投資をしているブロガーさん達による人気投票を集計したものです。印象ではありますが、ブロガーさん達の記事を追うと、長期投資であるという傾向を感じます。

インデックス・ファンドと呼ばれる商品が多いですね。インデックス・ファンドの利点については、過去の記事をご参照頂ければと思うのですが、ここでの最大のポイントは、最初に紹介した売れ筋ランキングとは、全く顔ぶれが違うということです。


同じものを扱っているランキングなのに、これだけ顔ぶれが違うという例は他にあるでしょうか?例えは悪いですが、2010年はKPOPが売れたのに、紅白には誰一人出れなかった、という例の他に思い当りません・・・。

紅白は人為的な選考結果でしかありませんが、では投資信託の売れ筋ランキングと投信ブロガーの人気ランキングの差からは、どんな意味が隠れているのでしょうか?

一部の人は、ブラジルの通貨の動向を見事に予想して、2010年を良い結果で終えたかもしれません。しかし、僕には、多くの人が「金融機関の勧めにしたがって購入した」ように思ってしまいます。2010年の新聞紙上や私たちの周辺で、ブラジル経済のニュースがそれほどまでに賑わったでしょうか?

「皆が注目した時点で価格はピーク」という話が投資の世界ではよく言われますが、2010年に投資信託の売れ筋を買った人は、皆が注目する前に買ったということなのでしょうか?この先も、良好な成績を続けることができると良いのですが・・・。

僕自身の好みは、投資信託ETFを含む)の場合ですが、新興国株式ならインデックス、先進国はアクティブ(日本以外ならインデックスでも良いかなあ・・・)、外債はいらない、という考えなので、ブロガーさんたちの投票結果に近いです。10位に鎌倉投信さんが入ったのも嬉しいですね。


注:投資はご自身の判断で行ってください。当サイトは、特定の投資やファンドを勧めるものではなく、投資の結果について何ら責任を負えませんのでご注意ください。



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