書評〜なぜ組織はイノベーションをつぶすのか?

多くの企業にとって、そして組織にとっても、イノベーションが成長やサービスの向上に不可欠であることは言うまでもないでしょう。しかし、イノベーションを起こすことやクリエイティブであり続けることは、極めて難しいのです。

本書は、「わたしたち個人がクリエイティブであるためには?」、そして「組織がそれを受け容れ、イノベーションを起こすには?」という2つに分けて、考え方を述べていきます。

クリエイティブであるためのコツは、あってないようなものでしょうか。もしコツがあったら、とっくにクリエイティブになっていますよね。しかし、1つだけ救われる思いの言葉があります。それは、「クリエイティブであることは後天的なもので、自分がクリエイティブであると信じて、考えることを止めないことだ」ということです。

クリエイティブであり続けることは非常に困難を伴いますね。しかし、当たり前のことなのですが、その困難から逃げてしまっては、一歩も前進することはできません。どんな小さなことでも、考えをめぐらし、実行に向けた努力を怠らないことです。

本書でも、「クリエイティビティには才能やひらめきと同じくらい習慣が大切」と紹介されています。

論理的思考よりも水平思考がクリエイティブなアプローチに効きやすい(注:それでなくては駄目ということではない)という考えも紹介されています。水平思考というのは、少し違った角度から物事を見たり捉えることを言いますが、以前に紹介した「これからの思考の教科書」でラテラル・シンキングと言われていた思考法ですね。

そして、本書は、組織がクリエイティブな考えを受け容れるためにはという組織論に移っていきます。

1)情報が自由に往来する、2)新しい考えが歓迎される、3)よいアイデアが育てられる、4)リスクが取れる、5)イノベーターが報われる、ような組織がよく、マネージャーが率先すべきであるという考えが紹介されていきます。

イノベーションについて語る本は、決定的なヒントを与えてくれるまでには至らないので、やや物足りなさを感じることが多いような気がします。本書も例外ではありませんが、既に見てきたように、イノベーションにまつわる考えや理論を非常に分かりやすく網羅しています。

僕自身について語ると、社会に出るまでは自分がクリエイティブであるなどと考えたことはありませんでした。学生時代は、クラスで標語を作ったり、創作をしたり、といった活動ではことごとく平凡なアイデアしか浮かばなかったのです。

今考えると、それは芸術的な領域の話で、社会で有用なクリエイティブとは、問題解決といった領域であることが多いようです。その領域では、最初に経験した仕事や上司のおかげもあって、どうやら楽しみながら経験を積むことができたようです。最終的には、会社から「クリエイティブ賞」なんてものを頂いたこともありました。

最初は、小さな改善の積み重ねでした。小さな改善でも、発想することや周囲から賛同を得るためのアプローチは、大きな改善や変革と共通する部分があります。つまりは「習慣化すること」「成功体験を積み上げること」なのでしょうね。

なぜ組織は「イノベーション」をつぶすのか?

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