「スローライフでいこう」と「心を整える」
タイへの旅行中、2冊の本が僕のお供をしてくれました。
1冊目は、「スローライフでいこう」。著者エクナット・イーシュワランさんはインドで生まれた方で、50歳近くになって米国に移り、1960年代に米カリフォルニアで瞑想やスローライフを紹介したそうです。
今でこそ、スローライフという言葉はよく耳にしますが、エクナットさんが提唱してきた頃は、まだまだ一般に知られていなかったのではないかと想像されます。
一方の長谷部選手は紹介するまでもありませんね。サッカーファンならずとも、ワールド杯やアジア杯での彼の落ち着き方やしっかりとしたインタビューへの対応から、知らない人はいないのではないでしょうか。
スローライフと聞いて、どんな印象を持つでしょうか?都会の生活をやめ、自然の中に身を置き、無理をしないで生活をする・・・。それは、自然が大好きな僕にとっての理想でもあり夢でもありますが、「スローライフでいこう」が語るスローライフとはそういう外見的なスローライフとは異なります。
心の持ち方や時間の使い方によって、日常の生活の中で、そして今の仕事を辞めずして、スローライフが実現できるというのです。
僕がこれまで経験したことの1つに、さまざまなことに挑戦し、責任を持って仕事にあたり、自分の能力を高めていくことに集中すると、実際に自分がそういう場所や周囲からの期待に相応しい存在に近づいていきます。もっとも、これは他人と比較する問題ではなく、過去の自分との比較という意味です。
この経験は僕の宝物ですが、一方で生活は忙しくなり、ストレスは高まり、そして同時に多くのことに気を向ける、という状態になっていきます。また、何かを得たいという欲求が、能力や経験といったものだけでなく、モノや新しい出来事という事へも伝播していきました。
僕は一度体調を崩したり、妻と出会ったことで、僕が宝物だと思っていた価値観や経験が絶対のものではないと知ります。これが、僕にとってのもう1つの宝物です。
その宝物は、安易に「ゆったり行こうぜ」というアドバイスをもたらすものではありません。今までの生き方をベースにしながらも、何を最優先し、そのときの心の状態はどんなもので、さらにその心をどう育てていきたいか、を考える際の指針になるものです。
僕にとっては、最初の宝物があったからこそ、次の宝物に気付くことができました。その意味で、能力を高めることによって得られた最初の宝物を否定する気持ちはありません。だからといって、最初の宝物だけで生きることは窮屈だし、その状態に戻りたいとは思いません。
では、2つ目の宝物だけを手に入れられたら良かったのか?これについては正直なところ、今は分かりません。
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「スローライフでいこう」も「心を整える」も、僕が今大切にしようとしている生き方、宝物の育て方と共通していました。自分と向きあう時間、心と対話する時間が大切であることも、改めて学び、そして刺激を受けました。
スローライフでいこう―ゆったり暮らす8つの方法 (ハヤカワ文庫NF)
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