マネープランと自分への投資


僕がいずれやってみたい仕事の1つに、個人へのキャリア・コンサルティングコーチングがある。今まで20年以上金融業界に携わっている地の利を活かして、お金を通してみたライフ・プランまで拡げてみるのも良いかもしれない。

そんな興味からファイナンシャル・プランナー(FP)などの資格を調べてみると、FPが蓄えるべき知識は税金や不動産など、多岐に亘るようです。駆け出しの銀行マン時代に詰め込みで勉強した内容を思い出します。週末を銀行業務検定にずいぶん費やしたなあ。あれを取らないと昇進できないと言われたものです。

僕の場合は、それらの知識で武装することに越したことはないけれど、強みになるであろうキャリア開発や個人の能力を引き出す仕事からは、ちょっと離れているかもしれないなあ、と思ったりもしました。

ビジネスについてのコーチングは、自分がビジネスのヘッドであったことと、部下の育成に熱心だったこと、そして自分自身もコーチをつけてその効果を信じていること、また少しずつではあるがコーチングを勉強していること、などからある程度のイメージはできます。

ただし、独立したコーチ業の場合、コーチングの対象はビジネスだけに限らない場合が多いようです。例えば、仕事以外のいわゆる“ライフ”について悩んでいると、仕事が手につかないことってありますよね。僕も自分のコーチには、ビジネスのテクニックよりはライフについて気付くきっかけを頂くことの方が多いです。ちなみに、真偽のほどは分かりませんが、昔聞いた話で、ヘッジファンドにお金を預けるときは、そのマネージャーの身辺調査まで行うという話すらあるくらいです。

身辺調査は別のプロフェッショナルの仕事なので私の興味からはずれますが、コーチングに話を戻すと、何のために仕事をするのか、自分が自分らしく感じられる瞬間はどんなときか、などを考える機会を与えることは、仕事での成果を上げる上で、とても重要なことだと思うことがあります。


話をマネープランの方に向けてみましょう。

仕事をするにあたって、経済的な成功をどの程度重視するか、は個人によって差があって良いと思います。しかし、その一方で、自分の本業から産まれるキャッシュ・フローと、投資によって産まれるキャッシュ・フローには、常に区別と戦略を持ってみてはいかがかと思います。

投資を勉強し、体験することは素晴らしいことです。それが、周囲に流されない、自分自身の判断と価値観に沿ったものであれば、結果が良くても悪くても、立派な投資家であると言うことができるし、失敗しても何かが得られるのではないかと思います。

一方で、自分への投資を行うこと、つまりは仕事を通じて結果を出し、本業から得られるキャッシュ・フロー(この場合は給料とボーナスですね)で報われることは、長いライフ・プランの中で、特に若いうちに重要であると思います。このバランスが意図的に行われていれば、お金の価値について学ぶスピードが上がるのではないでしょうか。

仕事が手につかないほど投資にはまっている人をたまに見かけますが、そのエネルギーを仕事に向けたら、と思うことがあります。将来、投資で食っていくのなら別ですが、多くの人は投資だけでは食べることは難しいでしょう。

ちなみに、僕は資産運用が本業ですが、お客さんのための投資と個人投資の間に不公平や不正があってはならないので、個人投資が自由にできないなどの制約を受けます。実質的にはほとんど行えないと言っても良いほどです。しかし、自分の給与とりわけ賞与は、世の中の景気を敏感に反映するので、自分の資産運用はむしろ景気によらない保守的なもので良いと思っています。

その分、自分の仕事にエネルギーを集中するように心がけてきました。本来の投資は、自分が応援したい会社を応援することであり、少し対象を拡げると、応援したい国や業界、テーマを応援して成長を促すことでもあります。そうした対象を見つける作業は楽しいし、知的好奇心を大いに満たすものでもあります。それだけに、注意を払わないと、仕事へのエネルギーを奪うものでもあります。よく投資の指南書に、身の回りの応援したい会社へ投資しよう、と言っているのは、そうした労力を効率的に配分する術でもあるのだと思います。




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