書評〜インナーパワー、インナーマッスルを体も心も健康になろう!


インナーパワーは著者の造語。インナーマッスルを鍛えることで、体だけでなく心も健康に、そして持てる力が発揮できる、と考え、その力の源をインナーパワーと言うようだ。

言葉の定義は主題ではないのだが、運動が苦手な人でも姿勢をよくすればインナーマッスルは鍛えられる。逆に、運動ができる人でも、ジムでのマシン・トレーニングにイメージされるようなアウターマッスルだけを鍛えても、パフォーマンスを最大限発揮できない。

僕もおおいに同意する話です。

著者は、マウンテンバイクでオリンピックをめざす選手だったそうだ。今でも体を動かしているようだが、実は医師免許を持ち、選手をサポートする立場で活動している。僕も、アマチュアとしてマウンテンバイクのレースに何度か参加したことがある。僕の場合は「ひよこ」レーサーだったが、雑誌か何かで昔記事を読んだことがある人だった。

そういう著者の経歴だから、説得力がある。著者は、いわゆるエリート・レーサーの世界にいる中で、医学部受験のためにレースを中断したり、大学を休学して再びオリンピックを目指したり、と普通のアスリートにはない経験を積んでいるのだが、そのあたりの話が面白い。そして、その中で、トレーニングや勉強に、いかに目的意識を持たせるか、短時間で集中するか、という工夫が披露されている。

「短時間で集中する」ためには、「インナーマッスルがしっかりしている」ことが大事と、2つはつながるのだが、このあたりの話も面白い。最近、いろいろなところで、話題に上がっているインナーマッスルだが、それを専門的にならない範囲で、「なぜ重要か」「体だけでなく心の調子を上げるのはなぜか」という説明を徹底的にしてくれる。

本書は、「インナーマッスルを意識して鍛える」ことを啓蒙する本であり、具体的なトレーニング方法については限られた紙面しか割いていない。その意味で、「インナー」という言葉に「何か魅かれるものがある」あるいは「運動不足を感じているが何から手を付けたらよいか分からない」人におすすめの本だ。

既に、インナーマッスルの効果を知っている人にも、「なぜ効果があるのか」をいろいろな角度から分かりやすく書いているので、トレーニングにマンネリ感が出たときに読むとよいだろう。

具体的なトレーニングについては、人によって好みが分かれるだろう。ヨガでも良いし、ピラティスもあるし、ランニングも良い。もっと手軽なバランスボールや、日常の生活で姿勢を意識すること、でも良いようだ。いずれの場合でも、効果的なトレーニング方法を一度は知るために、プロのトレーナーに学ぶ方が良いようだ。著者も、医師の立場から、本人の現状にあったトレーニングをすべきだと言っている。

僕は、スキーとマラソンが好きなので、数年前から意識的にインナーマッスルのトレーニングを入れている。自重トレーニングやバランスボールで基礎を固めて、ランニングでそれを伸ばすやり方が、自分にとって向いているようである。

いわゆる筋トレ・マシンを使ったジム・ワークも嫌いではないのだが、アウターの筋肉が大きくなってしまい、走る邪魔になってしまうことに最近気づいた。ただ走るだけでも、下半身を中心にアウターの筋肉は大きくなるのだが、筋トレをするとそれ以上に大きくなってしまう。それにより、体重が重くなって、走りが鈍くなるのだ、

インナーを意識するトレーニング法は、ゆっくりとした動作や、バランスを保つ動作からなるものが多い。このことは、常に体と対話し、呼吸をしっかり取るという他の良さを呼ぶ。

インナーを鍛えることは、アウターを鍛えることとは対照的なのだ。アウターのトレーニングには、重いダンベルを持ち上げたり、気合いでノルマを達成したり、といった派手さがある。インナーの場合は、動きが地味だ。しかし、初級者でも、何回かやっていくと、自分と向きあってその日の体調を感じることができる。そして、ちょっと頑張るトレーニングを入れて効果を楽しむ、ことができるのである。

インナーパワー

インナーパワー




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